嘘吐き二人
俺といるのに俺以外の男を頭に思い浮かべる君、何処か上の空で俺の話なんて右から左へ聞き流している。
それは、どんな時にだって言える、俺の名前を呼びながら身体を重ねている筈なのに、瞳は俺を映してはくれない。
どれだけ面白い話をしても、どれだけ高価な贈物を渡しても、君の笑顔は上面、心からの笑顔なんて、もうどれくらい見ていないだろうか。
俺じゃない、アイツといる時は嬉しそうに、心の底から笑顔を向けて、綺麗な瞳は彼だけを映していた。アイツを見ている時の君が余りにも綺麗だから、言葉を失う程美しいと思えたから、尚更俺は惨めだった。
俺の彼女でしょう、可笑しいよね、分かってる、俺は2番目なんだって、君が本当は俺を騙して他の男に恋をしているって、全部知っているんだよ。
若しくは、最初から俺は1番じゃなかったのかもしれない。俺を利用していただけかもしれない。馬鹿だなぁ、涙が浮かぶ。男なのに女々しいね、もうすぐ君に会えるのに泣いていてはいけないな、乾いた袖が少し湿った。
「俺は全部気付いてるよ」
そう言ったら、君はどんな顔をしてくれる?
だけど、俺は君が好きだから、君だけを愛しているから、気付かぬフリをして、今日も笑ってみせるよ。