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手紙

約束は果たされたのか

作者: 明久携寝








 

 横たわった雛が再び息を吹き返し飛び立った。


 その雛を見送り振り返ると君がいた。


「久しぶり」と片手を挙げて微笑んでいる。


 僕は慌てて走りだし君の挙げた手を捕まえる。


「久しぶり」


 掴んだ手は冷えきっている。


「冷たいじゃん」


「まあね」


 君の指の間に指を通して手を組んで左手を(こう)に添える。


 嬉しい。


 君に会えて嬉しい。


 冷えた手は一向に温まらない。


 手だけでは足りないのかもしれない。


 君を抱きしめる。


 やっぱり冷たい。


 僕の熱を奪ってしまえばいいのに。


 君がいる。


 君がいる。


 このままずっとこうしていたい。



 物語のお約束というものは得てしてこういうモノなのだ。

 こんなことを思ってしまったが最後。

 その瞬間に目が覚めた。

 起きた時に涙が流れたなんて本当にあるとは思っていなかったのだが。

 ずっと今の夢を見続けていたい。


 二度寝をしても、もう夢は見なかった。


「夢で逢えるだけで良かった」とはよく言ったものだ。

「夢で逢えるだけで良い」但し「夢から醒めない」ことを条件に。

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