06.仲間の危機3
中間テストの前日に
警察沙汰を起こしたみらいは
翌日テストが終わってから
担任と校長に呼び出しに合った。
そこには友達である卯月とゆりの姿も。
退学か停学か騒いでいたけれど
みらいは彼氏に顔に痣をつけられていた。
幸か不幸かそれのおかげで
一度解散しみらいの処分は
再検討されることとなった。
解放された私達は馴染みの
ファーストフード店へ。
だが席に着いた私達の間には
長い沈黙が流れていた。
私はみらいにどう声をかけていいか
わからなかった。
彼氏に裏切られ挙句退学になりそう。
という状況。本当に辛いと思う。
私がそんなことを考えていると
「みらい、とりあえずさぁ・・・
テスト頑張ろうよっ・・・!!」
とゆりが沈黙を破った。
「こんな状況でぇ、勉強って
感じでもないけどぉ、成績とっとかないとぉ
退学にならなくてもぉ卒業できないし・・・」
ゆりがそう言うとみらいが
「うん、そうだね・・・。」
と言う。
そして続けて
「・・・もし退学になってもさ、
友達、続けてくれる?」
と言ったので私は咄嗟に
「みらい・・・もちろんだよ!!」
と言ったがゆりは
「やだ。」
と言ったあと
「みらいはぁ、退学しないもん!!
だからぁ友達やめるなんてぇ
ありえないしぃもし退学したらとかぁ
そんな不吉なこと言うのはやだ。」
と続けた。
なるほど。確かにその通りだ。
ゆりは凄いな・・・。
人がその時欲しい言葉をいつも
与えてくれる。
「ゆり・・・ありがとぉ・・・。
そうだよね、うん。」
みらいは真顔でそう言ったあと
「みらいはぁ退学なんてしない!!
だからずっと一緒だよ!ゆり、卯月!!」
と笑顔で言った。
なので私も、「あたりまえだし!」
と笑って見せた。
そしてゆりも「世話かかるダチだけどぉ
ずっ友なのはぁ当然!!!
もしぃ退学とかになりそうになったらぁ
ゆりと卯月がぁ全力で守るからねっ!笑」
と笑顔で言った。
私達の仲はこれがきっかけで
もっと深くなった。
・・・
数日が経ち無事中間テストも最終日を迎え、
みらい、ゆり、私の3人は
再度校長室に呼び出されていた。
「それで、君が相田みらいさんの彼氏だった
窓華禎麻くんで間違いないね?」
長身のメガネをかけた男性に
校長がそう問いかけると
彼も「はい」と答える。
彼の返事を聞いた校長が質問を続ける。
「では、君はこの件について
どう思っている?どういう気持ちで
ここまできたのかな?」
そう聞かれた彼は
「・・・携帯を折られた衝動で
冷静さを欠いて女性であるみらいに
手を挙げたのは悪いと思っています。
それは反省しています。」
と答える。
それに対し校長は
「そうか。」
とだけ言ったきり喋らなくなった。
・・・それでなくても静かなこの空間に
不穏な沈黙が流れたが、
それはすぐに窓華さんによって
かき消された。
「校長先生。今回の事件は
僕に落ち度があります。
なので僕はどのような罰則でも受けます。
もし彼女が望むなら治療費も払います。」
そういった後彼は
「なので、彼女を退学には
しないでください。」
と頭を下げたのだった。
それに便乗するように私とゆりも
「私達からもお願いします!」
と頭を下げ、みらいも
「お願いします、退学だけは・・・」
と頭を下げた。
すると見かねたのか学年主任が
「校長先生、彼は被害者です。
ですが加害者でもあります。
ここは平等にする為彼女には
反省文を書かせてこの場は収めませんか?」
と提案してくれた。
そしたら校長も「わかった」と
提案を飲んでくれた。
「わ・・・やったー!!
ありがとうございます!」
嬉しくて騒ぐ私達に校長は
「ただし!」と声をあげた。
驚いて周りはまた静かになる。
そして校長が
「ただし、相田みらい。
君には反省文以外にも課題をだす。
それを1週間以内に提出できなければ
停学処分とする。わかったね?」
と続けて言った。
それに対しみらいは「はい!」
と大きく返事をした。
何はともあれ退学にならなくてよかった。
一件落着し私達は校長室をあとにすると
とりあえず先に校長室をでた
みらいの彼氏だった窓華さんを追った。
・・・
「たくまっ!!!」
私達より一足先に彼を見つけた
みらいが彼の名を叫ぶと
彼はこちらを振り返り
「みらい・・・」
と言った。
「たくま・・・ありがとう!!!
・・・んでから、彼女とさ・・・その
幸せにね!!!」
みらいはそう言うと彼は
「俺はなんもしてねーよ。
・・・つか、俺の方こそ、悪かったな。
顔に痣つけちまって・・・。」
と謝った。
「ううん、大丈夫。
・・・じゃあ、ね・・・元気で。」
「おう、お前もな。」
そう言い合って2人は別れた。
私たちの元に戻ってきたみらいは
いつも通りのみらいに戻っていた。
テストが終わり数日後全教科の
テストが返ってきた。
みらいに点数を聞いてみると
なんとか赤点は免れたらしい。
全てのものが片付きホッと
ひと息ついていると新たな厄介事が
舞い込んできたのだった。
でもそれはまた、次回の話。
とりあえず一件落着しました。
彼氏くん、ダメ男だと思ってたけど
最後みらいを庇ったのは
少しかっこよかったですね。笑
ということでまた次回!