初恋
ずっと好きだった…でも叶わない恋 知っている
だけど諦めないよ
これは一途な恋の話
風が暖かい、春、桜の季節
私、崎谷美桜 今日は私が通うことになるここ鈴橋高校の入学式だ。
「う、うわぁ..緊張する ちゃんと友達作れるかな」
……そしてあの子に気持ちを伝えられるかな
そんな思いを心の奥にしまい、体はぶるぶる震えながら校門を歩く私、その姿を見て新入生の学生たちはクスクス笑う。
あぁ、私の高校生活..大丈夫かな
──遡ること3ヶ月前
3年3組教室にて
「ねぇ、美桜ー」
ん?誰かが私の名前を呼んでいる?
「ねぇ、美桜ー、美桜ってばー!」
んー、なんだよ、誰だよ眠い眠いんだよ
こしこし、現在眠気半起きる半といったところ机に伏せている
「おきろー!美桜さーん?起きてくださーい!」
私を呼ぶ声が大きくなってる気がする..
一緒に誰かの顔がぴったり私の顔にくっつくように近い距離であることに気がついた。
「……わっ!?び、びっくりしたー!急に大声出さないでよ」
!?まず状況の整理をしよう、私の顔にすぐ顔の前には女の子がいる、女の子だ、その女の子が誰かというとさっきから私崎谷美桜を呼んでいた幼なじみの桐生結中学3年生である。
「え、えーっと、何があったの?いっつも急なんだけど」
またこしこし、目を擦る。あぁ、眠いまったく何をそう言いたがっているんだか
私の机をバシバシ叩き幼なじみは言う
「美桜さーん!ビックニュース!ビックニュースだよ!」
え?ビックニュース?はぁ、また結の癖だ。結はとにかく噂話が大好き、どうせいつものことだ。軽く聞くだけにしよう。
と心の中で呟いた。
「で?その大きな大きなビックニュースとやらは?」
その気になったかとばかりの結の顔
いつもとは違うにんまりした顔だ
「それがね!小6の夏にさ転校しちゃった美桜の初恋で片思いしてる人いたじゃん!しかも今も好きなんだよね?」
久しぶりに聞くあの子の話、そう私はその子のことが今も忘れられず片思い中、ちなみに私たちと同い年。
ふと過る彼の顔……少しだけ記憶に浸っていたら
「あのね、その子あんた、美桜と同じ志望校の鈴橋高校内定決まったんだって!もしかして上手くいけば同じ高校行けるんじゃないのかって思って、ね!びっくりしたでしょ?」
そわそわ今の結を一言で表すと興味いっぱいな人間
にしても、予想外のビックニュースだ
「ほんとに?鈴橋なの?」
少しの間も入れず聞き返した
「ほんとだってば、うちの情報網はカンペキなんだから!情報屋仲間から集めたの」
そんな仲間いたんかい
にしても結には感謝、ありがとうでいっぱい
「結!教えてくれてありがとう!私今までよりも勉強して絶対鈴橋行けるように頑張る!」
すぐ決心した。それくらい大事な事、まさか同じ高校を志望してなんて夢にも思わず考えもしなかった。
結構受験勉強にやる気が出た
「ふふん、ならならこの偉大なる結様にハーゲンダッツ20個投げるほどの気持ちを見せよ、ふふん」
偉そうに腕を組み鼻高く笑む結。
「……」
何考えてんだコイツ そんなカネは無いぞ、しばらく呆れ顔
んー、でもまぁ情報提供してくれたのには感謝してるよ結さん
──あれから数日後
「じゃーこれから受かるための計画を立てなきゃ、参考程度に鈴橋の偏差値は……53か仮にも平均より3つ上のレベルだね」
「私中学からのテストはいつも平均よりちょっと上だったけど油断してたらダメなんだよね」
進路関係の情報誌、偏差値のページを見ている結と私
特に焦りはないが油断大敵、ここを受けるのは私だけではない県内の受験生なのだと
「まず、美桜が全体的に見て弱いのが英語だから苦手教科を少しでも伸ばして、そのほかの得意な4教科は今まで通り勉強だね」
そして私の受験勉強生活が本格的にスタート
机に向かう度
「頑張って受かるぞー!」
毎日毎日毎日毎日忘れない、あの子のことも全部……
──あれから約2ヶ月後
少し肌寒いが外出には問題ない3月の上旬
もう少しで家の近所の桜がみたい待ち遠しい頃
この日は後期選抜の合格発表の日
私の人生を左右する大事な日、とても緊張しています
手と手を擦り合わせ私の心臓はドキドキ周りの受験生も皆ドキドキして不安と半分の期待を抱いていた。
──そして……
「う、う、私受かってるかな……もう落ちたら次どうしよう……」
物凄く弱気、だが知りたい結果をいち早く知りたい気持ちが勝って紙に書いてある受験番号と同じ番号を貼り出されてある紙から探していく。
近い番号を見たときの期待、番号は順不同で記してあるので端まで見なければわからない、落胆と期待の連続である。
そして遂に
「うう、265、421、143……!?え!うそ!ほんとに!あ、あったー!あったよ受験番号315番!も、もう一回確かめよう」
手元の紙を見る、正確に315と書かれている。
「あ、ほんとだ、私ほんとに受かったんだ!やったやったよ美桜!頑張ったよ私!結ありがとう……」
まず最初に思ったのは結のことだった。
幼なじみだからーだとかなんだとか、私のことになると人一倍熱くなる結、彼女は県内有数の進学校を受け、合格の報告済み。また高校からちがくなるが今まで通りの付き合いをしていきたい。
それと、あの子のこと
「これからは同じ学校か、はぁドキドキする、私のこと覚えてるかな」
ひとりぽつりと呟いた、とにかく4月からあの子に会える日が来るだろう。同じ学校にいればそのうち会える、会ったときどんな姿に成長してるだろう……まだまだ早い期待を胸に私は鈴橋高校の校門をあとにした。
☆
玄関前、掲示板に貼ってあったクラス分けの紙を見ると
「えーっと、崎谷美桜崎谷美桜ーどこだー?お?あった発見発見、でー1年2組13番か」
あの子は、あの子はどこだろう?
「柳葉澪……どこ……!?うそ、同じクラスだ……」
そうあの子の名前はさっきも言った通り柳葉澪という
ほんとにびっくり、偶然?神様が私の味方してくれたのかな
そんな風に勝手に思うが好きな人が同じ高校で同じクラスって味方してるにも程がある。ありがとう全ての神様。
幸先の良すぎる……あぁ、うまくいけー私の高校生活!
そろそろ入学式の時間
大勢の新入生が歩く中で私の体はまだ少し震えている。
「うーん、思ったより緊張してるなー、で、でも同じクラスって知ったわけだし必然的にほぼ毎日顔見るわけだから固くなっちゃだめ、新しい友達も作るから笑顔笑顔」
クラスごとに整列して体育館に向かう、私は少し足を震わせ歩いていた。同時に澪君を目で探す。
?あれ?いない、どこにも並んでない……どうして?
そう、澪君が見当たらない、でも立ち止まっていたら後ろの人達に迷惑だとりあえず歩こう……
少し歩いて体育館の入口に着いた。
ん?どうやら入学式の一連の流れを司会だけ進めてるようだ途中で聞こえた司会の声、
「続きまして 新入生代表 柳葉澪 」
その時私は 4年ぶりに澪君を見た……。
続く
はじめまして、本作品が初投稿処女作の颯音と申します。今回のテーマは初恋。初恋と聞くと懐かしい、切ない、甘酸っぱいなどいろいろありますね。
恋で輝く女の子って可愛くて素敵だなーっと思うこの頃。まだまだまだまだ未熟者ですが気ままにまったりと書いていきたいと思います。よろしくお願い致します。