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愛されないゴブリンの奮闘記  作者: あっぷる
ゴブリンの洞窟
1/5

エピローグ

 初投稿です。

 不定期ですので予めご了承ください。

「あっついなぁ……」


 カタツムリが干からびてしまいそうな、そんな暑い日差しだった。しかもじめじめしているから余計にたちが悪い。紫外線対策にと、長袖のTシャツを着ていたが、腕が蒸れて、かゆくなりそうだ。




 松田恵理は、今年の四月から大学生になったばかりだ。ナマケモノな恵理は、数少ないテストが終わらせた後、家でゴロゴロしていた。しかしあまりに長い夏休みは暇でしょうがない。


 友達と遊べばいいじゃないか、と言われそうだが、友達が少ない上に、その数少ない友達はみんなバイトに行ってしまっている。


 

 一週間で一度遊べるかどうかのスケジュールは真っ白で、寂しい。


 サークルもバイトもしていない。実家暮らしだからお金はそんなに必要はない。それに、どうしても人間関係が関係してきてしまうので、煩わしいと感じてしまうからだ…………別に、コミュニケーションがとれなくて悲しいとか、独りぼっちになるだろうから寂しいとは思っていない……………………嘘です、寂しいです。


 家でマンガや、インターネットをして過ごしていたのだが、ついに家にいた母親の堪忍袋の緒が切ってしまい、家から追いだされてしまった………わかっているよ。手に持たされた紙を持って、スーパーで買い物をして来いってことですよね。へいへい、わかっていますよ。面倒くさい。


 紙に書かれていた材料は、豆腐や肉などの普通の材料ばかりで、今夜も野菜炒めだろうなと予想させる。三食に一回は野菜炒めだよね。味を変えてくれなかったら、私、絶叫して家から出ていっていたよ。ほんと。飽きるとか、思わないのかな。それとも、乾燥した干しシイタケみたいに、干からびてしまっているのか。

私を巻き込まないでくれ。こんなこと言っても、もう遅いかもしれないけど。

 



 スーパーの中は、肌寒いほど冷房がかけられていて、汗で体が冷えてくしゃみをしてしまった。でも、涼しいよ。一生、住みたいくらいだ。母親は無駄に省エネとか言って、エアコンを28度に設定してしまうから、暑いのなんの。暑いんだから下げればいいのに。家計がそんなにダメなのか。父さんの稼ぎはそれなりによさそうなのに。ケチくさい。


 安い食材を一応選びつつ、かごの中に乱雑に積まれていく。今日の夕ご飯も、野菜炒めかな………やだな。飽きたな。どうしようか。………面倒くさいけど、麻婆豆腐の元でも買って作ろうか。作るのは簡単だし。うん、そうしよう。久しぶりにやる気が出てきたぞ。









 そう思ったのが悪かったのか、いまでもよくわからない。


 ただ、この後横断歩道が赤の時にわたってしまい、なお且つ、ものすごい勢いでくる大型トラックに轢かれてしまい。


 厳しくて、つらい世界に放り込まれてしまうのを知っていたならば。


 親たちにもう少し親孝行をしてあげればよかったと、少し胸を締め付ける悲しみを覚えずに済んだのに。




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