洗脳 1
今回も中途半端です(=_=)すいません。
「なっ……!?」
皆に駆け寄ろうとすると、黒服は僕の事も羽交い絞めにした。
「はっ離せ!!」
体を捻るが3人がかりで抑え込まれているので、思うように体が動かない。微笑みながら、ルギは僕の頬に優しく触れた。
「顔は…変わってないんだな…リューネ。」
「誰の事だっ!やめろ!離せっ」
必死で顔を背けるが、今度は頭をルギの大きな手がすっぽりと包んだ。すると、赤く強い光が手から迸る。それと同時に頭を強く締め付けるような痛みに襲われた。
「う…ぐっうぅ…」
「流石。悪魔の処刑人の洗脳…いや、あの女の協力があってこそか…。簡単には解けないようだ。」
ジャック?あの女って誰だ?僕は…
「ぐっああああああああ!!」
その瞬間、僕の意識は遠のいた。
~キング視点~
ジョーカーの洗脳が解けたら、またあの子は戻ってしまう。ルギの思い通りに動く…人形に。
拘束を解いている間に、ジョーカーは倒れてしまった。それを理解した瞬間、私は叫んでいた。
「ルギ…っジョーカー…否。リューネをどうする気よ!!」
「僕の愛しい彼女に戻しただけだ。」
「ふざけないで!確かにあの頃、貴方達は愛し合っていたんでしょうけど…あれは間違っている!!」
「うるさい!お前には関係ない!!上の言いなりの操り人形が!」
「あなたのやっている事はっただのあいつに対する押しつけよっ!?それに早く気付きなさいよ!」
一通り感情をぶつけると、ルギは実力行使に移ったのか手を前に出す。いくつも死線を潜ってきた私だが、ここまでの殺気は流石に少し怖気づく。
「うるさいうるさいうるさい!!!僕はお前の能力を解いてリューネと2人でいられればっただそれでいい!!」
呼吸を乱し、手に紅蓮の炎を灯すとそれを球体にし、発射。超動体視力でギリギリ捉えられる速度。
「ちいッ・・・・・」
銃でそれを粉砕しても、間髪いれずに連射してくる。それに合わせてこちらも連射し、応戦する。
「しまった!」
一つ弾を外し、気絶しているリューネの方へ飛んでいった。あたってしまう…一瞬そんな考えが頭をよぎる。しかしそれは、無用の心配だった。
「リューネ…!!」
ルギはリューネに覆いかぶさり、自ら盾になった。しかし、私の銃弾は、私の意のままに動くので当たらない。なる程、あの子に対する思いは本当なのね。しかし、そんな思考ができる時間もつかの間、次の瞬間、
「うっ…………」
リューネに異変が起こった。体にひびが入り始めたのだ。そのひびは全身に広がり、目も当てられない程の状態にまでなってしまった。
「あああああああああああああ!!」
そして次の瞬間、破裂。現われたのは、一糸纏わぬ大きなたれ目の水色の髪の美少女だった。薄い黄緑の瞳を開くと、小さく呟いた。
「ルギ…様…?」
「ああそうだよ、リューネ…」
自分のマントを彼女に巻きつける。すると彼女はルギに抱きついた。涙を流しながら…
「フフフフ」
横目でこちらを満足気にこちらを見るルギの後ろから、とてつもない殺意が現われた。
「貴様アアアア!!ジョーカー、二、何っヲ、シたアア!!!」
足元に倒したのであろう黒服達を転がし、ルギに向かって特攻を仕掛けるジャック。しかし
「ルギ様を…傷つけないで……」
その言葉と、行動に硬直してしまった。リューネはジャックにはっきりと訴えたのだ。「傷つけないで」と。
「ジ、ジョーカー…なん、デ?」
目を白黒させているジャックに告げた。
「ジャック、クイーンを連れて撤退するわよ。」
クイーンはこんな時に眠っていた。
「ハア!?何、言ってんノ、ヨオ!ジョーカー、ヲ、置いテ、行く、気ィ!?」
「ルギ、約束通りこの町から出て行くのよね?」
ジャックを無視し、ルギに問う。
「ええ、もちろんですよ。約束通りですからね。」
「じゃあ、ジョーカーを返して頂戴。貴方の要求は彼女の洗脳を解く事。彼女をそちらに引き取らせる事は、要求に含まれていない」
ジャックはその瞬間、輝くような笑みを浮かべた。
「そう、ヨォ!ジョーカー、ヲ、返せ!」
威風堂々に言ってのけたが、それは全く意味がなかった。むしろ、煽ってしまった。
「……これを見てもそう言えますか?」
ルギはリューネの腕を掴むと引き寄せ、軽く、触れているだけに見えるが、大きすぎる意味の口づけをし、抱きしめた。
「……っんっルギ…様…!?」
「何して、くれやがってん、ノ、ヨォ!!ジョーカー、早、ク、こっち!」
ジャックがまっすぐに差し出した手と、自分を抱きしめるルギの力強い腕を見比べ、宣言した。
「私は、ルギ様について行く。」