第四十話 器用な人たち
さて。
戻ってきました。
キッチン!
……うん。
戻ってくるときに、お父様がうざ――楽しそうだったよ!
すっごくテンション高くて、高くて……。
…………もう、ここまで言えば言わなくてもいいよね。
あたし、もう疲れたから、さっさとサイン済ませるよ?
えっと。
名前て書いてある所に、ニコラ・コルウッドっと……。
で。
人差し指に、朱肉をつけて。
その横に、ポンっと!
はい、おしまい!
あたしはサインした書類を執事さんに渡した。
執事さんはお母様と和解(?)した時同様に、笑顔が眩しかったです。
はい……。
ところで。
あたしの予想なら、感激して叫びながらお父様があたしに抱き着くか、書類を抱きしめるか。
何かするって思ってたんだけどな……。
外れちゃった!
だって、キッチンは静かだし。
何も落ちて壊れてたりもしない。
…………お父様の身に、何かあったのかな?
あたし同様に不思議そうにしてる執事さんと一緒に、お父様とお母様が居る方を見た。
見た感じだと、二人に異常はない。
でも、ただ立ってる。
心配になったのか、執事さんが二人に近寄って、声をかけた。
……反応は、無い。
執事さんはお父様の目の前で手を振る。
これも、反応なし。
執事さんはなおも声をかけながら、肩を軽く叩いた。
反応なし。
あたしはこれを見て、座ってた椅子から降りて、お母様に声をかけながら、ドレスの裾を軽く引いてみた。
大抵、お母様はこれで気づく。
……変化なし。
あっれ~?
おかしいな。
どういう事だろう……?
って。
あれ?
執事さんが消えた?!
え?
どうして?
音もなく消えちゃったよ?!
どういうこと?!
そう思いながら混乱してたら、ギルデさんと一緒に執事さんが戻ってきた。
なるほど。
お父様たちを運ぶために仲間を呼んだんだね……。
こうして。
立ったまま気絶しちゃったお父様とお母様は、二人仲良く。
寝室のベットに運ばれていきました。




