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第一話

首都星の空は、もう、信じられないくらいキラキラと輝いていた!


「わああっ! ママだ! ママきたよーっ!」

「パパ見て! ママの機体、すっごくかっこいい!」


右手にルカ、左手にトア。二人の天使が、観覧席でピョンピョンと跳ね回っている。


ああああ、なんて可愛いんだ、うちの子たちは!


そして空を舞うのは、純白の装甲を持つ魔導機将。あれに乗っているのは、銀河の歌姫にして、俺自慢の最愛の妻、マニャだ!


花びらが舞い散る中、美しくターンを決めるその姿に、観客席からは割れんばかりの歓声が上がっている。


「ママ、こっち見てーっ!」


子供たちのちぎれんばかりの声に応えるみたいに、マニャの機体が、空中でピタッと姿勢を止めた。

そして、巨大なカメラアイが、スッとこちらを向く。


「見て! ママがこっち見たよ!」

「本当だ、やったね! ママ、ずっと頑張ってたからね!」


完璧だ。俺の徹夜の魔力調整、大成功!


このオイルまみれで荒れた手も、子供たちのすべすべの手を守るためなら、勲章みたいなもんだ。


でも、ほんの一瞬。


機体のカメラアイが、自分たちの席じゃなくて、さらに上のVIP席――を向いたような気がした。


それに、マニャがカメラ越しに送ってきた微笑みが、なんだか……すごく遠くて、冷たいものに見えた、気がする。


「……いやいや、気のせい気のせい! 太陽の光が眩しかっただけ! 俺たちは銀河一幸せな家族なんだから、仄暗いことなんてあるわけない!」


ブンブンと首を振って、俺はまた天使たちと一緒に、空へ向かって全力で手を振った。



パレードの熱狂から数時間後。


深夜の軍事格納庫はシーンと静まり返っているけれど、俺のテンションは高いままだった。


「よーし、今日も愛しのマニャの機体を、ピッカピカにしちゃうぞ!」


鼻歌交じりに、冷たい装甲にタッチする。

整備兵仲間には「裏方」なんて言われることもあるけれど、全然ノーダメージだ。


だって、愛する家族の命を守ってるのは、この俺の完璧な技術なんだから! まさに英雄を支える、影の英雄ってやつ?


「さーて、魔力伝導率の最終チェック、いってみよー!」


軽いリズムでコンソールを叩き、機体の深層システムにアクセスする。

戦術通信ログの階層を、ポンポンと小気味よく開いていく。


「んん?」


完璧に整備したはずの回路の奥底に、ポツンと、見慣れないノイズがあった。

設計時には存在しない、不自然な暗号化通信の痕跡。

軍の公式フォーマットでもない。なんだこれ?


「まあ、俺様の技術にかかれば、こんなロック、おもちゃみたいなもんだけどね!」


カタカタと、余裕の表情で解除コマンドを入力。


「はい、オープン! ……あれ、これ司令官のプライベート回線?」


エラーかな? それとも司令官からのサプライズ・メッセージ?


ワクワクしながら画面を覗き込み、モニターの光が映し出した『最初の数文字』を読み取った。


レオン:『マニャは、レオンがいないと寂しくて死んじゃう「寂しがりやさん」ぺんか?』


マニャ:『そうぺん! レオンにナデナデされないと、一日が始まらないぺん!』


――鼻歌が、止まった。


底抜けに明るかった格納庫の空気が、一瞬にして、絶対零度へと凍りついた。


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