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第七章 刺殺事件第一報
地元紙の社会面は小さかった。『蒼浜市で男性刺され死亡』。顔写真なし。背景説明なし。
鷹宮は記事を折り畳み、現場へ向かった。路地は狭く、海からの湿った風が血の匂いを残している。
警察の規制線はすでに撤去されていた。早すぎる。
近所の老人が呟く。
「揉めてたらしいよ。基地のことで」
揉め事。便利な言葉だ。誰も深く掘らなくて済む。
鷹宮は被害者の名前をメモした。二十七歳。アルバイト。反基地集会に顔を出していた形跡がある。
胸の奥がざらつく。これは街の問題じゃない。処理された匂いがする。




