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第二章 拡声器とライブ配信
玲奈は拡声器を握り、フェンスの前に立っていた。背後ではスマートフォンが何台も掲げられ、ライブ配信の数字が跳ね上がっていく。
「基地は命を奪う。今日も、どこかで」
言葉は刃だ。刺さらなければ意味がない。コメント欄には罵倒と賛同が渦を巻く。再生数は正義の証明だった。
彼女の脳裏にも蒼浜市がある。母が倒れたあの日。警備員の無表情。市民団体の沈黙。事故処理。
誰も声を上げなかった。だから自分が叫ぶ。
スタッフが耳打ちする。「地方案件、蒼浜市。助成金、下りそうです」
玲奈は頷いた。理由は違えど、戻るべき場所は同じだった。




