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分断の国(仮)  作者: キロヒカ.オツマ―


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第十三章 基地反対派内部抗争

港の倉庫街は夜になると人目が消える。そこで起きたのは、思想闘争ではなかった。ただの縄張り争いだ。


「誰が警察に売った」


 怒号の直後、拳が飛ぶ。倒れた若者の頭がコンクリートに打ち付けられ、鈍い音が響いた。


 鷹宮は少し離れた暗がりから見ていた。止めに入る理由がない。止めれば、次は自分が殴られる。


 殴っている側も、殴られている側も、反基地を叫んできた人間だ。だが今は、基地の話など誰もしない。


 翌朝、新聞は『若者同士の金銭トラブル』と書いた。基地の二文字は消されている。


 鷹宮は理解する。思想は、金と恐怖の前では真っ先に裏切られる。

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