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第十一章 エセ右翼の正体
集会所の二階は、煙草と安酒の匂いが染みついていた。壁に掲げられた日の丸は新しい。逆に言えば、最近貼り替えたということだ。
鷹宮は後方に立ち、演説台の男を観察していた。威勢のいい言葉、過激なフレーズ。だが、肝心なところで必ず濁す。敵の名前も、責任の所在も言わない。
「この街を守るのは我々だ!」
拍手が起きる。だが拍手の主は決まっている。動員だ。
休憩時間、鷹宮は男に近づいた。
「刺殺の件、どう思う」
一瞬の沈黙。男は笑った。
「刺激が強すぎる。今は寄付が大事だ」
寄付。その言葉で全てが繋がる。恐怖を煽り、対立を演出し、金に変える。思想は装飾だ。
鷹宮は確信した。こいつらは国を守らない。飯の種を守っているだけだ。




