空間魔法と微精霊
「はっ? えっ? あっ?」
ウォーカーは何が起きたのか分からずに困惑した。
「ひょひょ。 お前さん棒立ちとはいかんなぁ!!」
するとザイガーの号令でウォーカーに向かって一斉に銃火器の雨が降り注ぐがウォーカーはマリナスを掴みそのまま赤い穴へ放り込んだ。
「ちっ、奥の手だ。 微精霊共俺を守れ!」
そして指を鳴らすとまるで雪の玉のような集合体がウォーカーの周りを囲み風を起こすと銃火器の弾の雨は全て弾かれた。
「ひょはは! 空間使いは契約術を使うと聞くがまさか精霊と契約しとるとは! これはレアモノじゃあ! お前ら! 必ずそ奴を捕まえろ!」
ザイガーが興奮して叫びながらウォーカーを指差してくるがウォーカー自身にはどうでも良すぎて舌打ちをした。
「……マリナスの治療してやりてぇがめんどいな。 エレック」
ウォーカーは手の平から雷の魔法を連射してザイガーの部下達を感電させていく。
「ひょはは! わしの部下を無力化しても無駄じゃ!」
するとザイガーの背後からぞろぞろとたくさんの私兵達が現れた。
「……はぁめんどくせぇな。 金にならない事したくねぇんだが」
そう言いながらウォーカーは周りに微精霊を集めて魔力を借りながら冷気を手の平に凝縮させた。
「あん? 何をするつもりじゃお前」
「戦うのめんどくさいんだよ。 じゃあな」
ウォーカーがそう言うとザイガーの屋敷が全て凍りついた。
「はぁ……寒い寒い」
白い息を吐きながらウォーカーは氷の魔法で凍ったザイガーを赤い穴へと放り込み、そのままウォーカーも穴へ落ちていった。
「よっと。 あ、お前ら仕事な」
空間内の屋敷に足を踏み入れると倒れているマリナスを発見し、ウォーカーは客用の部屋まで運んでベットに寝かせ、微精霊を呼び出して治癒を頼む。
その後は凍ったザイガーを牢屋へとぶち込んで鍵をかけた。
「はぁ契約術ていうか召喚術は面倒くさいんだよ」
そう言いながらウォーカーはベットの上で横になった。
契約術またを召喚術。
それは空間魔法を使う者しか得られない特権だ。
空間魔法を使う人間は少ないらしく、百人ぐらいしかいないらしい。
それはウォーカー自身を含めての数かどうか分からないがそれはどうでもいい事だ。
空間魔法使いは空間を繋げる性質からこの世のものではない存在を呼ぶ事が出来るらしい。
精霊に竜。 天使や悪魔。 そして神。
いずれかと契約を結び恩恵を得られたりするらしいがウォーカーは特に何も考えず、誰からも契約されない微精霊百万体と契約を結んでいる。
ウォーカー自身の魔力量は魔法を極めた魔法使いや聖騎士に聖職者関連の者達と比べたら持っている魔力量は少ないだからこそ召喚する時に魔力を使わなくて済む精霊をウォーカーは契約として選び使役している。
微精霊達はとても働き者で自身の魔法の補助に敵の探索、そして治癒まで行ってくれるからありがたいのだ。
『オカエリ、ウォーカー! ボクタチノオウサマ!』
「はいはい。 分かった分かった。 俺は今日はもう疲れたから寝るぞ?」
『ウンワカッタワ。 ウォーカーステキナオウサマ!』
「はぁ」
たまに僅かに自我ある微精霊から話しかけられる事もあるがウォーカーは別に気にしていない。
とりあえず今はよく眠ろうと思いウォーカーは眠りについた。
ドガンと音がして目が覚め、廊下を歩いているとすっかり元気になったマリナスがいた。
「こ、ここはどこだウォーカー!? そ、そして私の周りをうろちょろしてるこの白い玉はなんなの!?」
「……説明するのめんどくさ」
驚きの顔をするマリナスの顔を見ながらウォーカーはため息を吐いた。