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メンバー紹介

「……チッ、なんでこうなっちまったんだ!」


 ウォーカーは頭を抱えてながらため息を吐く。


「改めてましてこんにちはウォーカー・エイル君いやウォーカー君と呼びましょう今日から君の上司となるエイザールです。 今日から君は私の騎士団の一員と言う事になりますねよろしくお願いします」


「よろしくお願いしますじゃねーよ! 俺は騎士団になんて入んねーよ!」


 馴れ馴れしく話してくるエイザールをよそにウォーカーは腕を組んでそっぽを向いた。


「あぁ表向きの荷物運びとしての君の情報は抹消されましたよ? いやぁ名前だけの登録でよかったです。 冒険者ギルドには魔獣に喰われて死んだ事にしてますから」


「おい! 勝手に俺の個人情報を改竄するなよ!」


「まだ分かりませんか?」


「うっ!?」


 ウォーカーはペラペラと喋るエイザールに怒号を叫ぶがそんな子供じみた行動をエイザールはただの笑顔の威圧で黙らした。


「君は私の騎士団の一員になったんですよ? その自覚を持って欲しいものです」


 エイザールの目は威圧で満ちており、ウォーカーの心は恐怖に染まった。


「あぁそれと今から君を騎士本部に連れて行きますね? よろしくお願いしますよ?」


「……あぁ」


 こうしてウォーカーはエイザールに連れられて第六騎士団の本拠へと足を運んだ。



「着きましたよウォーカー君」


「でっけぇ」


 そう言われて見てみると大きな建物があり、驚いた。

 まるでお城と言われても遜色ない程の建築であった。


「君のチームメンバーを紹介しておきましょう案内します」


「……分かった」


 エイザールに案内されると食堂に男女の三人組がいた。


「やぁ、マリナス、ハーティ、トラバース」


 するとさっきウォーカーと敵対していた瑠璃色の髪の少女と金髪に赤い瞳のイケメンな青年そして白いスカーフを巻いた少女がいた。


「やぁ揃ってくれたねみんな今日紹介するのは新しいメンバーだ。 仲良くしてくれたまえ」


 エイザールは淡々とまるで友達を紹介するかのような口調でウォーカーの事を紹介し始めた。

 馴れ馴れしい口調に内心イラついたがウォーカーは出来るだけ笑顔を務めた。


「ウォーカー・エイルだよろしくな」


 すると瑠璃色の髪をした少女が席から立ち上がりエイザールの元へ歩いてきた。


「エイザールさんこんな犯罪者を騎士団に入団させるなんて間違っていますどうか考え直して下さい」


 すると冷徹な声を上げながらウォーカーを指差してまさかのクビ宣言をしてきた。

 ウォーカー的にはこの提案は願ったり叶ったりである。

 騎士団なんてクソ真面目な仕事ウォーカーには似合わない。

 今まで通り冒険者の荷物持ちをしつつ自由気ままに闇のお仕事をしている方が性に合っている。


「それは無理だマリナス。 もう正式に彼は私達第六騎士団の一員になっている。 もしもダメならば君が彼の相棒となって仕事をしてごらん? そうすれば君も大きく成長出来るかもしれないよ?」


「……」


「これは君の為でもあるんだよ?」


「……分かりました」


 瑠璃色の髪の少女否マリナスはそれでもエイザールに抗議を申し出ようとしたが気持ちに整理がついたのか俯いて頷いた。


「ハーティ、トラバース君達は問題ないかな?」


「……ティーは別になんでもいい」


「俺は別にいいぜ! 人員を増える事はいい事だからな!」


 ハーティと呼ばれた少女は淡々と頷き、トラバースと言われた青年は愉快に笑った。


「それじゃあ後は若い子達で仲良くしてくれたまえ」


 そう言ってエイザールは食堂を出て行ってしまった。


「まぁ改めてよろしくな! マリナス!」


「……勝手に名前を呼ばないで頂戴不愉快よ。 私はあなたの事を認めない」


 ウォーカーは手を伸ばして握手を求めたがマリナスはウォーカーの手を跳ね除けてふんと鼻を鳴らして外に出て行ってしまった。


「……なんだよあいつ」


「まぁまぁマリナスの事については放って置こうぜ! 改めて俺はトラバース! よろしくなウォーカー!」


「ティーはハーティと申しますよろしく」


 するとトラーバースを名乗る金髪の少年がウォーカーの肩に手を回し、ハーティと名乗った少女は無理やりウォーカーの手を握って微笑みを浮かべた。


「……これからこのメンツと仲良くしなきゃいけないのかよ」


 ウォーカーはため息を吐いて肩を落とした。




「待ってくださいエイザールさん! やっぱり私、納得いきません!」


 一方マリナスは怒りを腹に抱えながらエイザールの後を追っていた。


「おや? マリナスついてきたのかい?」


 マリナスの噛み付くような怒号にエイザールは涼しい顔をしていた。


「茶化さないで下さい! 何故あのような犯罪者を騎士団の一員として認める必要があるのですか!」


「……意外と彼は君と似ていると思うよ?」


「……似て……いる? どこがですか! あんな軽薄そうで裏の仕事をするような奴がいい奴な訳ありません!」


 エイザールの言い分に納得が出来ずマリナスは涙を流しながら吠えた。


「あの男は私の父と母の命を奪った連中となんら変わりないと思います! そんな人間と一緒に仲間として働け? ふざけているんですか!? エイザールさん!」


「……まぁ彼は他の人間と違うと思うけどね? 君も一緒にいれば分かるさ」


「……私には分かりません! 今のエイザールさんの考えている事が何ひとつ!」


「……大丈夫。 私はいつも第六騎士の事を考えているよこれだけは私の本心だ。 信じてくれ」


「……分かりました」


 エイザールの真剣な眼差しにマリナスは目を伏せて頷く他になかった。

 そんな二人の会話を月夜と星々だけが見ていた。

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