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異世界転生・転移の文芸・SF・その他関係

転生先の異世界はサイバーパンクだったので、この世界の流儀にのっとり生き残るために邪魔者を消していく

作者: よぎそーと
掲載日:2023/04/30

「じゃあな」

 最後の言葉をかけて、引き金をひく。

 非力と言われる9ミリ拳銃弾も、機械化してない体なら問題なく貫通する。

 装甲が施されてないならば特に。

 肉体強化で体を強化していた敵だが、頭まで防御されてるわけではない。

 難なく拳銃弾は相手の頭を粉砕した。



「これで全部か?」

 周りの仲間に確認する。

「大丈夫、逃げた奴もいない」

「ネットから監視してる奴もいない」

「よし」

 問題はない。



「外せる部品だけ持っていけ。

 死体も担げるだけ担げ」

 仲間にそう指示を出し、撤退を始めていく。

 戦ってるだけでは何の利益にもならない。

 敵対組織が潰滅するのはありがたいにしてもだ。



 それでも使った銃弾や武器、負った傷、消費した燃料などなど。

 情報提供料から警察に払った賄賂まで。

 かかった費用はかなりになる。

 少しでも取り返さなくてはやってられない。

 それが雀の涙であってもだ。



 そんなわけで、敵が使っていた機械や道具、体に埋め込まれた強化機械部品。

 さらには死体そのものまで回収していく。

 何かしら金になるからだ。

 人道的にはどうかというところだ。

 しかし、倒した連中にはこれまでさんざん嫌味な事をされてきた。

 こういう時にもとを取らないとやってられない。



 そもそも、人道などが廃れて久しい世界だ。

 そんな世界で行儀良くしていてもしょうがない。



 文明そのものは発展している。

 科学知識や技術は高く、人はその恩恵を受けている。

 そうなっていてもおかしくはなかった。

 だが、どんな知識や技術も用いる者次第である。

 この世界を牛耳る者達は知識や技術を独占。

 自分達の為だけに使っていった。



 それが一人や二人ではない。

 派閥を作り、陣営を構築し、しのぎを削っている。

 裏工作から破壊活動、兵隊をぶつけあう戦争。

 利権を巡って様々な衝突が繰り返されていた。

 全ては自分達がのし上がるために。



 誰かの上に立たねば気が済まない者達が頂点に立っている。

 それらが自分の立場や地位を求めて騒動を起こしている。

 なんらかの合理性によってそうしてるわけではない。

 相手を見下したい、自分より上に誰かがいるのが我慢できない。

 同等の地位に誰かがいるのが許せない。

 協調を全くおぼえない性質の者達が、無駄で不毛な争いを繰り広げていた。

 ただ、自分が他の誰よりも上にいる為だけに。



 終わりのない争いが果てしなく続く。

 誰かが一番になるまで続くのだから。

 そんな争いに巻き込まれまいと、誰もが武装して身を守るしかない。

 抵抗しなければ蹂躙されて殺される。

 例え生きていても奴隷以上に悲惨な境遇に陥る。

 人間らしく生きるためには、戦わなくてはならなかった。



 生まれた時からこんな調子だった。

 生き残る方法は二つ。

 奴隷のように服従してお目こぼしを狙うか。

 障害を倒して安全圏を確保するか。

 こんな世界に生まれてきた以上、どちらかを選ぶしかない。



「酷い世界だ」

 敵対組織を倒して奪えるものを奪っていく。

 そんな事をしながらも、そう呟いてしまう。

 この世界では常識であり、何もおかしな事ではない。

 それでも、これが酷いことだとは分かる。

 前世の記憶があるからだろう。



 地球の日本での生活。

 平々凡々な人生を歩んでいた時の記憶。

 敵対組織を潰した彼にはこれがあった。

 殴り合いの喧嘩くらいはした事はあるが、殺し合いなど縁の無い世界だった。

 そこでの体験があるから、この世界がどれほど酷いものなのかが分かってしまう。



 この世界に生まれきた転生者は、ここで生きていくために覚悟を決めるしかなかった。

 戦って安全を確保するしか人間らしく生きていく手段は無い。

 安全地帯は自分で確保しなくてはならない。



 目立たず生きてても必ずどこかで巻き込まれる。

 大人しくしてれば稼ぎを巻き上げられるだけ。

 そうならずにするには、襲ってくる悪人悪党を殲滅するしかない。



 その為に武器や道具を手に入れていった。

 体に機械も埋め込んでいった。

 共同作業をしてくれる人間を見つけて仲間に引きずりこんだ。

 周りのギャングを少しずつ殲滅していった。

 安全圏を少しずつ増やしていった。



 その努力が実って、近隣に残った最後のギャングを先ほど殲滅した。

 これで周辺の組織だったクズは消えた。

 今ではこのあたりで一番のギャング集団を抱えるようになった。

 その影響力のおよぶ範囲から問題や騒動を排除していった。

 小さな範囲だが、ようやく落ち着いて過ごせる場所を作る事ができた。



 とはいってもこれで終わったわけではない。

 同じような規模の組織は他にいくらでもある。

 より強力な組織もだ。

 そういった者達と渡り合っていかねばならない。

 でなければ潰される。



 そういう動きも出て来ている。

 短期間で急速に勢力を拡大させたのだ。

 嫌でも注目される。

 当然危険視される。

 より大きくなる前に潰してしまおうと。

 それが出来ないなら取り込んでしまおうと。



 そのどちらも、行く先は破滅しかない。

 生き残るためには独自勢力として動いていくしかない。

 その為に何が出来るかを考えていく事になる。



「面倒だな」

 無駄な騒動に巻き込まれてる。

 こんな事してないで、手を取り合えれば一番なのだが。

 それが出来ない性格・人間性の者達が各勢力の頂点にいる。

 その全てを殲滅するまで争いが終わる事はない。



 今更ここから抜け出すわけにもいかない。

 そんな事はもう不可能だ。

 あらゆる勢力が敵に回ってる。

 逃げれば追いかけてくるだけだ。

 戦うしかない。

 勝つしかない。

 でなければ死ぬしかない。



 勝ち抜けるとは思わない。

 明日を迎えたいが、それは難しい。

 それでも、勝って生き残るつもりでいる。

 どうすればいいのか分からないが。



 だが、いつ終わるのかは分かる。

 止まった時に全てが終わる。

 進むしかない、敵に向かって。

 そしてとどめを刺して、死体を押しのけていくしかない。

 それだけが生き残る道だ。



 人を集め、道具を集め、金を集め。

 兵隊を集めて戦うしかない。



 そうして敵を退けた場所にだけ、平和に暮らせる場所が出来るのだから。

 前世のように落ち着いて暮らすにはそうするしかない。

 高層ビルが立ち並ぶ文明社会という戦場。

 殺し合う事でしか平和が得られない地獄がひろがっている。

「厄介だよ、この世界」



 出来れば穏やかに生きていきたい。

 それが出来た生まれる前の世界が懐かしい。

 それを成り立たせるためにも、戦って勝つしかない。

 力を手に入れるしかない。

 他の連中を御行儀の良くさせるには、力をつけてから他人に強いるしかないのだから。



 そこまで行けるように、次の攻撃を考えていく。

 周りにいる全ての敵を倒して、平和と安全を手に入れるために。



 その後、争いは激化していった。

 転生者による攻勢が世界を巻き込んでいく。

 その果てに各陣営は疲弊し戦闘を停止していった。

 継続できるほどの余力が無くなったからだ。



 計上しきれないほどの損害を誰もが受けた。

 これ以上なにも出来なくなるほどの被害をこうむった。

 それを平和というには無理がある。

 しかし、とにもかくにも争いは消えていった。



 それを成し遂げた転生者は、望んだものがようやく到来した事に安堵を覚えた。

 これで暫くは静かになるだろうと。

 たとえ一時だろうとも。



 その予想に反して、騒乱は長く鳴りを潜める事になる。

 あまりの損害の大きさに、これ以上の騒動を誰もが忌避した。

 それ以上に、騒動を起こそうとする連中の多くが死んだ事が大きい。

 相手を出し抜き自分が上に立つ事を求めた者の多くが消えた。

 それもまた、転生者のなした成果である。



 以後、何十年に渡り平穏が訪れた。

 その中で人は騒動よりも安息の方が良いと思うようになった。

 無理して成り上がるよりも、静かな空間の方が落ち着けると。



 それを知った者達は、騒ぎが起こそうとする者を見つけたら自発的に処分し始める。

 平穏を手放そうという者はいない。

 転生者がそういう風に世論などを誘導してるのもある。

 だが、それ以上に誰もが争いが止まった状態を求めていた。



 そんな状況が次第に当たり前になっていく。

 戦闘が止まってるだけで、平和とは言いがたいかもしれない。

 だけど、それでも今までよりはマシだ。

 その事に転生者は満足した。



「ようやく落ち着いた」 

 長い時間がかかったが、ようやく望みに近い状態になった。

 それ以上はさすがに望めない。

 発達した科学によって長寿を得てるが、それでも人が一代で成し遂げる事ができる事には限界がある。

 それを成し遂げたと思って納得する事にした。

「あとはこれからの連中がどうにかすればいい」

 平和な時代に生まれてきた者達に今後を丸投げしていく。

 そうして転生者はこの世界での人生を終えた。

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あと、異世界転生・異世界転移のランキングはこちら

知らない人もいるかも知れないので↓


https://yomou.syosetu.com/rank/isekaitop/

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