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光と風を求める闇深き少女

へぇい!!!活動報告して数時間で完成しちったぜ!

ちょっとグロい表現あるけど多分大丈夫だと思うぜ!

先に炎が織り成す仕返しのダントファングを読んでから読むことをオススメします

何故、私は生まれてきたのだろうか。

何故、世界はこんなにも理不尽なのだろうか。



それは、遠い昔、5歳の頃だっただろうか、

私はいつも、誰も通らない、薄汚くてジメジメした、暗い路地裏に居た

毎日、ひたすら生きる為に盗みに手を染め、

影で生き続けた、時には同じ影で生きる同胞に財産を奪われ、殴られ、蹴られて、丸一日動けなくなった事だって日常茶飯事だった


しかし私は慣れてしまった。

平然と盗み、平然と殴られる。

そんな毎日を繰り返していた。


そしてとある日の夜、夢を見た


それは、私が見た事のない綺麗な景色。

それは、世の汚れまでが綺麗に見える程の汚い景色。


私は目覚めた時、

いつもよりも体が軽く感じた

違和感を感じて周りを見たけど、いつもと変わらない妹の寝ている姿、薄暗くてジメジメした路地裏、落書きがある壁、別に何も変わっていなかった。


何だったんだろう、あの夢は。

とても心地よくて、綺麗だった。

あの景色の中で死ねるなら、もうどうでもいいと思えてしまう程に。




いつもと変わらず、私は生きる為にゴミ箱を漁っていた。そしていつもと変わらず、私の持っているもの全てを奪おうとする集団が居た。

私はいつもそいつらが来る度に財産を失ってリスタートを繰り返していた。

だからそろそろ返り討ちにしてやる


「 へへへ、嬢ちゃん いつも通り有り金全部置いていきなァ?」


「嫌です、いい加減あなた達にお金を渡し続けることは出来ません。」


「チッ …生意気なクソガキがよォ!!!」


リーダーと思しきナイフを持った青年が私に

飛び掛って来る、しかし私は動かない、

彼の弱みは既に知っている。

彼は人を殺せない、小心者だ。


「おいおいリーダーさんよぉ、何してんだよ」


リーダーがナイフを振らずに私に向けた途端、

顔に傷が付いたガタイの良いタンクトップ男がリーダーに向かって煽るように言う、

彼は人を平然と殺せるタイプだ、気を付けなくては。


「まだ私から奪い続けるというなら此方にも策があります、覚悟があるなら掛かってきなさい」


私は彼らを脅すように言い捨ててその場を去ろうとした、しかしナイフを何本も持っている不気味な男が私に向かってナイフを投げ付けた、

そしてそのナイフは私の腹の辺り目掛けて飛んできて_____


ナイフの軌道が逸れた。

まるで何かに操られたように。


そして私は今度こそその場を後にした。





そして翌日、彼らは来なかった。

毎日来て私の手に入れた物を全て持っていく彼らが今日は来なかった。何かあったのだろうか、しかし有難い事に変わりは無い。

彼らが来なくなった事で、今日の稼ぎは久しぶりに千リリスを超えた、これからは毎日豪華な物を妹と食べれるかもしれない、そんな事を考えながら妹が待っているであろう隠れ家に向かった。



隠れ家に着いた時、

そこに妹は居なかった。

その代わりに妹のベッドの上に紙が置いてあった


「 お前の妹の身柄は預からせてもらった。

返して欲しければラガレームに有り金全部持って3日以内に来な、ま、金が無いお前には無理だろうな」


ラガレームというのはこの街の隣にある街、

鉱山があるのだがあまり裕福ではない街だ

そして1万リリスで馬車に乗れば1日で行けるのだが、私には金がない。

つまり

今ある金ではラガレームまで行くことは出来ない、しかし3日以内ともなれば少々変わってくる

今すぐ出発し、一切寝ずに走り続ければなんとか辿り着ける距離だからだ。

妹の為だったらなんだってしよう。


そうして私は一振の短剣を購入し旅の用意をすぐに終わらせた。






大体どれくらいの速度なのだろうか、

きっとまともな教育を受けていればなんとなく分かるのかもしれないが、私には関係ない、

目の前を走る馬車を追い抜かして走り続けた





何事もなくラガレームに辿り着いた、

しかしラガレームの何処に行けば良いのだろうか、どこかに地図は無いかと周りを見渡す。

しかしそこにあるのは赤茶色の砂の山や地面に突き刺さったスコップやツルハシ、そして大きな山と汚らしい木の家だけだ。


これは非常にマズイ。

人に聞いてみるにしても何故か人が1人も居ない。もう妹を諦めるしか無いのだろうか、

何も出来ない自分に対する嫌悪感や罪悪感に包まれたまま、3日が経ってしまった。


そして3日経った朝、目覚めると目の前に切り傷だらけの頭だけが落ちていた、私は泣き叫んだ。妹の頭を持ち帰る事も出来ないから、優しく撫でて地面に埋めた。もっとしっかりとした埋葬が出来ない自分が許せない。

この理不尽な世界が許せない。



そして私は王都に行くことを決意した。

理不尽な、この国を消す為に、

国王を、殺す為に。

世界を、変えるために。

同じ過ちが繰り返されない為に




しかし14になった今、

私は王都から程遠い、ムリンという街に居た。

ラガレームでひたすら強くなるために毎日鉱山のダンジョンに通い続けていたある日、私は転移トラップに引っ掛かってしまった。

本来ならばダンジョンの前に移動させられる程度なのだが、何故か今回は有り得ない距離を転移させられてしまった。それも王都から限りなく遠い街、ムリンに。


それでもこの街での生活は悪くない。

住人は皆優しくて、町長も事情を話したら大きいとは言えないが一人暮らしには充分な大きさの家を格安で貸してくれたくらいだ。





私は絶対的記憶力を持っている。

生まれてから今までの事を全て鮮明に思い出せるのだ。

その代わり、同時に多くのが起こってしまうと記憶の整理が必要になり、睡眠をとらなくてはならない。

そして睡眠をとる度に夢を見る、大抵は過去に起きた事の夢なのだが、今回は見た事がない光景から始まった。



優しい光が差し込む肌寒くて薄暗い牢屋の中に居た。壁には植物の蔓が伸びている、

地面にはヒビが入り、砕けて土があらわになっている箇所もある。

これは一体なんなのか、いつの記憶か、謎だらけだった、


ふと、私は自分の手を見た。

細々とした、白くて小さな手、私は膝立ちのまま、やさしい日の光が差す方を見た。

そして祈るように、手を合わせてこう唱えた


「 この世界に光を、貧しき者に、争う者に、全ての者に平等な祝福を 」


そして周りが光に包まれた。

光はすぐに収まった、しかし私は横たわっていた、どうやら意識を失っていたのだろう、

月光が差してくる鉄格子の窓を見ていると、1人の兵士のような装備の青年が牢屋の扉を開けた。


「出ろ、貴様の父親…国王の判断により、貴様を王都から追放する事になった。

貴様の名は今から エイリリア・スカーレット だ

以前の苗字は決して名乗らぬように。」


「分かりました」


そうか、やっと思い出した、

私は国王の娘、つまり私の目標は父を殺すことだったらしい。




そして私は目を覚ました。

ブールゾンの路地裏ではなく、ムリンという街の、小さな民家の一室。

そういえば、妹も国王の娘なのだろうか、

だとすれば、何故妹までもが追放されたのだろう、王を殺すためではなく、追放された理由を知る為に王都に行ってみるのも悪くは無いかもしれない。


そしてそのまま眠りに就けず、朝を迎えた



朝になるや否や、私は朝食を用意する。

この街は麦で有名らしい、確かに毎朝食べている食パンも美味しい。

そんな美味しい食パンをキッチンの下の棚から出してまな板の上に置く、包丁を使って1cmくらいの厚さに切って、皿に移す、

そして今度は黒っぽいフライパンの上に油を引いてから卵を割り入れる。

火を付けてしばらく待っていると卵の黄身と白身が固まってくる。焦げるギリギリのタイミングを見計らって火を消して食パンの上に目玉焼きを乗せ、いつもの朝食の出来上がりだ。


私は行儀悪く立ったまま目玉焼きが乗った食パンを食べた。黄身が弾けるとトロトロの黄色い液体が流れる。それも食パンと一緒に食べる、

いつも食べているのに飽きない味なのは何故なのだろうか、そう考えながら最後のひと口を食べ、手を合わせる。


いつも、朝食を食べてすぐにアンハインドがいる洞窟に行くのだが、今日は何故か体が重いかったため、今日は休むことにし、紅茶を飲もうと、お湯を沸かした。


紅茶を飲みながら外の風景を眺めるというのもたまには楽しいと感じれる、なんなら毎日そんな御年寄地味た生活でも良いと思ってしまった、私は危うく本来の今までの目標を忘れてしまうところだった。





そしていつの間にか次の日になっていた。

私は金欠にも程があるし、後1年くらいはここに住んでいたい。


ともなれば暫くはこんなところでのんびりスローライフって事になるのだろう。







そしてあっという間に1年は過ぎた。旅に必要な資金も、旅に必要な武器も買った。

これで王都に行ける筈だ。


そして私は村長とお世話になった人、

鍛冶屋のおじいさんにお礼を言ってムリンの街から出た。出る前に黒っぽい茶髪に赤茶色の目の少年が重そうな剣を背負って何かしているのが見えたが、私は気にせず馬車に乗った。





馬車に乗ってから数時間。

馬車が突然止まった。


「お前ら逃げろ!こんなとこにスターハインドが現れやがった!!!!」


外からそんな声が聞こえた。

どうやらスターハインドに太刀打ち出来る者が居ないため、逃げるしかない状態なのだろう。


私にも勝てるか分からないが、足止めだけでもできないかと馬車から降りてスターハインドと対峙した。


スターハインドは臆したように威嚇してくる。

ハインド種はどの個体も自分より強い相手には絶対に挑まないという習性を持っている。

もしかしたらこのまま逃げ去ってくれるかもしれない。そう期待したが、黒い毛皮が攻撃色である光も反射しない漆黒に変化した。

どうやら私は目の前にいるスターハインドに弱いと認定されたらしい。


今逃げれば逃げている者達に被害が及ぶ可能性もあるため逃げることはできない。

仕方なく、ムリンの鍛冶屋で買った魔力伝導率の高いシンプルな見た目の短剣を鞘から抜き、短剣に粗雑な魔力を込めて構えた。


「ガァァァァ!!!!」


飛び掛かろうとする真っ黒な獣に剣先を向けて私は唱えた


「ハイデルーズ!」


そして剣先から白い閃光がスターハインドの頭へと真っ直ぐ迸った。

すると、スターハインドの頭は蒸発して無くなり、残った部分は地面に倒れ込むと同時に塵のように消え去った。


短剣を鞘にしまっていると、馬車隊のリーダーの中年くらいのおじさんが近付いてきた


「お嬢ちゃんまだ小さいのに凄いね〜」


子供をあやすようにそう言ってくる。

もし下心があれば彼の股間に向かってさっきのビームを放っていたかもしれない。


「お礼に、これあげる」


そう言って私の手の上にキラキラ輝く中に何か入っている紙のような物を置いた


「これは…?」


きっと普通の教養を受けていればこれが何かわかっただろう、国王に捨てられた私にはこれが何か分からない。質問するとリーダーはきょとんとした。


「こ、これはね、チョコレートっていう甘くて美味しいお菓子だよ」


「なるほど、有難く貰っていきます」


貰ったチョコレートとやらをポケットに入れて馬車に戻った。


馬車の客席は知らない人しか居ないので私は荷室に座った。


荷室でボーッとしていたらいつの間にか太陽が夜の方向に傾きつつあった。

ふとポケットにチョコレートを入れたことを思い出して、ポケットに手を入れ、チョコレートを1つそっと掴んで取り出した。

ピンク色の包み紙を剥がすと茶色い球体が入っていた。


「初めて見る…」


念の為匂いも嗅いでみる


「美味しそう……」


チョコレートからは食欲を唆るいい匂いがして、本当においしそうだった。


球体のチョコレートを口に中に放り込んで数回噛んでみる。


「ッッ!??!??!??!?」


危うく叫ぶところだった。

これは美味しい。初めて食べるからそう感じたとかじゃなくて、これは毎日食べても絶対飽きないと断言出来るほど美味しい。


口の中にジュワジュワと広がる甘み、そしてそれに混じるほどよい苦味、それらがとてつもなく美味しかった。リーダーのおじさんに感謝しながらチョコレートを飲み込んだ。




夜になっえ暗くなると、馬車を止めてキャンプファイアーをセットしてそれを馬車で壁のように囲んだ、ここら辺は風が強いからこうしないと火力の高い炎でもすぐに消えてしまうのだとか


しばらく焚き火を眺めていると、

リーダーのおじさんが焼肉が刺さった串を2本と金属で中身が見えない大きなボトルを持ってきた。


「お嬢ちゃん、どうぞ」


串を2本とも差し出してきたので左手でそれを受け取るとリーダーが再び口を開いた


「お嬢ちゃん、名前は?」


「エイリリア・スカーレットです」


「エイリリアちゃん、今日はスターハインド討伐、有難うね、さっきはちゃんとしたお礼出来なかったから、はい、これ」


リーダーが話している間に串に刺さった焼肉を食べ切る、そして話が終わると金属のボトルを差し出してきた。

金属で串を返しながらボトルを受け取って

中身を確認するとそこには見覚えのあるカラフルな球が入っていた


「あッ、ありがとうございます!!!!!」


嬉しさのあまり大声で言ってしまった。

焚き火を囲んで歓談していた人たちも無言でこっちを見てきて、顔が熱くなるのを感じた。


リーダーに一例してから馬車に飛び込んでそのまま眠りに落ちた。



そして翌日、何事も無くヘイスターに辿り着いた


そしてすぐに迷子になった。


適当に歩いていると小さな宿があった。

いつの間にか暗くなってしまったのでそこに泊まろうと引き戸を開けた。


「らっしゃっせー!!!!!!!!!!!」


「!??!?!?」


一瞬何者かに襲撃されたのかと思ってしまった。そして少し遅れてから耳が痛くなった。


思わず耳を抑えていると近所の人らしき人達が宿内にわんさかとやってきた。

どうや全員クレーマーのようだ____



__クレーマー全員が帰ったのはあれから3時間後だった。


「悪いね、お客さんお泊まりかい?」




宿泊の手続きをパパっと終わらせて借りた部屋へと急いだ。


部屋に荷物を置き、寝ようと思った時に気付いた、鏡という自分の姿が見れる板が置いてあることに。



最近は初めてのことが多過ぎる。

明日は一日中休もう。そう思いながら鏡に近付いて自分の姿をマジマジと見つめた。

ツヤのある金色の長い髪、

髪の毛の金色に少し水色を混ぜたような色の目


私は初めて自分の姿を見て一番最初にこう思った。


可愛い。


そして私はそろそろ脳が限界になり

倒れる様に布団に入った。


そして翌日はずっと寝て過ごした………



そして更に翌日。

やっと意識が安定してきた頃、

やることも無いので観光に行くことにした

荷物を財布と短剣だけにして、

宿から出た。


宿の店主に貰った地図を見ながら進むが何度も迷子になって戻るの繰り返しでなんとか鍛冶屋に辿り着いた、しかしムリンにあった鍛冶屋と比べるとどれも劣った物ばかりだったのを見て、ムリンの鍛冶師は腕利きということに遅ながら気付き、値引きして貰わないと買えない可能性まであったとふと感じた。


とりあえず短剣だけでは色々と心許ないので

魔力伝導率の高い銀色のバックラーを買った。

店員曰く、この盾に魔力を込めると盾から魔力の防壁が出来るのだとか、

早速試そうと、店内でバックラーを装備し、

魔力を込めてみると、水色がかった透明な防壁が広がった。これを見て私は思わず、

これに似た短剣は無いか

と目を輝かせて言ってしまった。

恥ずかしい…。

店員はすぐに数種類の短剣を持ってくる。

最も魔力伝導率の高い物を買いたかったが、

それを買ってしまうと馬車代が無くなってしまうので、2番目の短剣にした。

勿論それも試した結果、レイピアのような細剣や、長剣に出来た。

カッコイイ。



そして私は嬉しさのあまりスキップしながら店を出た。


どうやらこの街の中心にもダンジョンがあるらしいので、そこで性能を試しつつお金を稼ごうと、真ん中にそびえるどんぐりの木へと急いだ





私はダンジョンに入って数分歩いた場所にあった宝箱を開けようとして………


「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


足場が無くなった。

そう、落ちたのだ。

腰に携えた短剣を抜いて壁に突き刺して穴の壁をズガガガと音を立てながらなんとか降りきった。


そして着地した先にはスターハインドの上位種、ムーンハインドがいた。

ムーンハインド以上になると、体の何処かに星の模様があり、そこか弱点になっているらしい

そしてもう1つ、ムーンハインドは光属性に弱い。私の得意な属性だ。


「グルルルル………」


唸りながら姿勢を低くして、飛び掛って…

来なかった。そのまま伏せてペットの犬のようになった。この状態でこの子が気に入る

食べ物を与えるとテイム出来る。


生憎食べ物が無い為、どうしようも無いな…

と考えていた時、ポケットにチョコレートが入っているのを思い出した。

ムーンハインドに向かって茶色い球を投げた、

そしてムーンハインドはそれを食べて____


小さくなった。

どうやらテイム出来てしまったようだ。

こんなところで仲間が出来るとは思いもしなかった。

しかし心強いのは確かだ、

サイズが大型犬並になったのを見て、乗って移動出来るかなと考えたが、暗過ぎて危険なので乗るのは地上まで我慢することにした。



ムーンハインドと共に歩き続けていると、

上下に伸びる狭い階段があった


「ついに戻れる!」


うれしくて走って階段を駆け上がった。

ムーンハインドに追い抜かれたり追い抜いたりして競走しながら無事にどんぐりの木から脱出した。


そして私はすぐに市場のペットショップへ向かった。ムーンハインドの餌が必要になったからだ。


私がムーンハインドと共に店に入ると入口の近くにいた店員が驚きと恐怖が入り混じったような表情で


「いらっしゃいませ……」


と言った。


ムーンハインドはそんなに恐ろしい物なのだろうか、そう思いながらハインド種向けのアイテムがあるコーナーへ向かった。



どうやらムーンハインド専用の餌は売っていないらしい。どれにしようか悩みに悩んだ結果、没用性の高いアンハインドの餌とハインド種全てが共通して食べるらしい餌の両方と水の携帯用ボトルを買った。


店から出てすぐ、ムリンで見掛けた

1、2歳上の少年とムリンでは見かけなかった銀髪ロングの大人びた女の人が共に歩いていた。


「私にも……いつか、出来るかな…」


ボソリと呟いて私は宿の自室に戻った。

その時、宿の店主の声が聞こえ、その後にクレーマー達の声と思しき喧騒も訪れた。


どうやら誰かが宿に泊まりに来たらしい。

なんとなく気になって扉についた覗き窓を見てみると向かい側の部屋に入っていく2人の少年と女性が居た。


もしかしたら近いうちに会話できるかもしれない。そう考えるとなんだか嬉しくなって、笑顔が溢れてしまった。





ふわぁ と欠伸をしながら着替えを持って温泉に向かっていた時にふと気付いた。

ここは男女が別々になっていない、

もしかしたら今日来たあの人の他に来た人が入っていたら、一体どうしよう…


いや、ここは混浴、部屋にも備え付けの風呂なんてない。覚悟を決めて入ろう。


そして私は温泉の前にある更衣室に着いた、

更衣室に誰かの服が無いか確認する、

運が良かった。服は置いていないようだ、

服が置いていないということは誰も入っていないということ、私は安心して服を脱いで温泉の横開きの戸を開けた。


そしてそこには_____


誰もいなかった。

当然だ、更衣室には誰の服も置いてなかったのだから、

私は安心しながら体を洗いに温泉の横にあるシャワーの方へ歩いた。


想像以上に滑る、

何回も転びかけながらなんとかシャワーに辿り着いた。


シャワーを浴びている時に気付いた、

なんという事か、そこにも鏡が置いてあって、

私の無防備な姿を完璧に映していて、なんだか恥ずかしくなった。

今更ながら、鏡は全然高級な物じゃないらしい。


一通り洗い終わって、湯に浸かろうとした時、誰かが温泉の戸をガラガラを開けた。

私はピタリと止まってしまった。

そして入ってきたのが男の人だと分かった瞬間____



温泉の中に落ちた。どうやら勢いがついていたらしく、大きな水柱が立った。

温泉から溺れているかのように顔を出すと、


「すっ、すいません!!!!」


そんな声が聞こえて、ガラガラと戸が閉まる音が聞こえた。

その後30分程度温泉に浸かった。



部屋に戻るとムーンハインドが餌を欲するように私を出迎えた。

とりあえずアンハインドようかとハインド種用の餌を混ぜてあげてみた。


美味しそうに餌を食べるムーンハインドを見ながら私は悩んでいた。そう、この子の名前だ。

最初はチョコレートで懐いたからチョコレートにしようとか考えたのだが、長過ぎるし安直だ。


「そうだ!『ルアース』にしよう!!!」


決まった。神聖語で月光を意味する。

神聖語なんて何処で覚えたのだろう。

いや、そんなの決まっている、王都以外無い。

もしかしたら旅をしている間に抜け落ちた数年間分の記憶が少しずつ戻ってくるかもしれない



明日もどんぐりの木に行こう。

きっと新たな出会いがある。


いつか出来るであろう仲間達の姿を思い浮かべた。勿論、その中にあの茶髪の少年もいる。

いつかの日に思いを馳せながら私は深い眠りへ落ちた。




どんぐりの木に向かっている時、あの人たちを見かけた、折角だから彼らについて行くことにした。


どんぐりの木に入って数分、彼らは私が引っ掛かったトラップと同じのに掛かった。


私は慌てて階段の方へ走った。





階段から降りた時、彼らはクッキーを食べながらどうするか話し合っていた。随分とお気楽そうだ。しかしどこか悲しそうな様子だったので今すぐ助ける為に光源を作り出す魔法で彼らを導くことにした。


「ウマムース」


私は1つ目の光源を出すと彼らは警戒した様子で光源を見た。

そして2つ目、3つ目と設置して行き、全て設置した頃に彼らは武器を持って歩き出した


落とし穴の真下に何か未知のモンスターでも居たのだろうか、彼らはゆっくりと歩いた。


遂に彼らは階段に辿り着いた。

そして階段の踊り場に仁王立ちした私は彼らに向かって


「また、どこかで会おうね!!」


と言った。

そして階段をルアースと共に駆け上がった。





私がどんぐりの木から出て少し遅れてあの人達が出てきた、私は2人の様子を息を潜めながら見ていた、それなのに茶髪の少年は私に気付いて

何かを呟いた気がした、私は慌てて顔を引っ込めてしまったせいでなんて言ったかは分からないが、きっと憎しみの言葉ではないだろう。


私はウキウキしながら路地裏を通って宿に戻った。


運良くあの2人より早く着いたようで宿の靴箱には誰の靴も置いていなかった。

靴を脱いでスタスタと足音を立てながら自分の部屋に入った。


部屋の隅に置いてある金属のボトルの蓋を取って中身を1つ出して包み紙を剥がすとすぐに食べる。昨日は食べていないからか更に美味しく感じた、食べていない期間とか関係無しに数種類の味があるのかもしれないが美味しければ私にそれらは関係ない。


頬がとろけそうなくらいに美味しいチョコレートを味わった後は少し休憩することにした。

そこまで長い間は潜っていない筈だが、最近になって私の体力は全然無いことに気付き始めている。


多分今温泉に行けばあの人が入ってるから行けない。

仕方ないので部屋で武具の手入れをすることにした。とはいえ使ったのは私が穴に落ちた時に壁に刺したくらいだ。

しかし剣というのはその程度で酷く損傷してしまう、多分あの剣は研ぎ治さないともう使えないだろう。

そう思いながらムリンで買った短剣を鞘から抜いた。予想通り刃はボロボロだが何故だろう、この剣は研がなくても十分過ぎる斬れ味を発揮する気がする。


それでも手入れは大切だ。

私は鍛冶屋でオマケして貰った携帯出来る神器級にレアな砥石を大きく膨らんだリュックから出した。


大きさは普通の砥石と同じ、それなのにとても軽くて頑丈。そんな砥石を床に置いて椅子を横に置いて砥石のペダルを漕ぐ、

砥石がグルグルと回転し始め、それに短剣を当てる、少ない火花とギリギリと鳴る心地のいい音。短剣はみるみる元の見た目に戻った。

少し当てすぎたのか、やや細くなった気がしなくもないが気にしないでおこう。



研いでいる内に30分くらい経ったようだ、

そろそろあの人たちも温泉からは上がっているだろう、私は着替えを持って温泉へ向かった。


廊下の窓を見ると既に日が傾いて、オレンジ色になっていた。時間が経つのは相変わらずあっという間だ。



私は更衣室を確認せずに服を脱いで温泉の戸を開けた、予想通り誰もいなかった。

そして私は手早くシャワーを浴びて温泉に入ろうとした、その時、温泉の中から茶髪の少年と銀髪の女性がザバッと音を出して頭だけ現した。


「「「あっ」」」


私はまた転んで大きな水柱を作り上げた。


「だ、大丈夫ですか?」


茶髪の少年が心配そうにこちらを見てくる。

全然大丈夫じゃない。死にそうだ。

まさかこんな会い方をするなんて、

正直今すぐにでも消えてなくなりたい。


「だ、大丈夫です」


嘘をついた。流石に大丈夫じゃないなんて言う訳にも行かないから。


「良かった、さっきは助けてくれてありがとうね」


「「え?」」


銀髪の女性と私の声が重なった。

彼はどうやら既に気付いていたらしい。





風呂で話すのは恥ずかしいからという理由で私たちは今私の部屋にいる。

エイダートという名の彼の部屋は色々ごちゃごちゃしているらしい。

そして銀髪の女性はエイダートの仲間のノアというらしい。

折角ちょっとカッコつけた感じで助けたのにこんなダサい会い方をするのはちょっと悲しい。

それでもこうやって面と向かって話せるのはとても嬉しい。


「え、エイダートさんはもしかしてムリンの街出身ですか?」


私が質問してみると彼は頷いた。

どうやらムリンに居た弱そうなあの人がエイダートらしい。かなり変わったような気がする


「エイリリアさんは何処出身なの?」


私が敬語は必要ないと言った為タメ口でそう質問してくる。

しかしまぁ なんと答えようか、

王都と答えるかブールゾンと答えるか…


「えっと、一応王都ですけど、ブールゾンで生まれたような物です」


多分これが1番いい答えだと思う

私はそう思っていた。そしたらノアさんが横から


「!?!?もしかしなくとも貴女はそのあの突然行方不明になったという国王の娘の方ですか!?」


勘のいいひとは嫌いです。


「な、なんの事だか…」


危うく表情に出してしまうところだった。

チョコレートを1つ出して食べてなんとか誤魔化した


「そうですか………」


がっかりしたようにノアさんは俯いた。

そんなに自信があったらしい、なんだか申し訳ない。



そしてひとまず私達は解散した、

多分明日の冒険は彼らと一緒に行けると思う。


私は心を踊らせながらすっかり暗くなった窓の外を見て眠ることにした。


どうでしたか!!!

光と風が織り成す祝福のオロサインス

の世界線はおりふぁんと同じです!

そのためよくエイダート達と遭遇します!

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