第84話カリウム
相棒に女性陣とのじっくり話し合いを頼んで内科の診察に出かけました。
会社からは歩いて40分ほどです。
今日はあの若い女医が担当部長の席に座っています。
「先生が学会なので代打ですよ。体調はどうですか?」
「はい。抗がん剤の副作用もずいぶん治まりました」
「仕事を続けられているのでしたね?」
「ええ、子会社に移りましたので気分的には楽ですね」
「精神的にリラックスできるのはいいですよ。クレアチニンは4.28と少し上がっていますが、いかにこの辺りで留まれるかです。5台に入ると急に風邪などで悪化することがあります。風邪薬は市販は使わないでください。こちらで10日分出しておきます。それとカリウムが5.6と少し高くなっていますね。カリウム吸着薬を出しますが、便秘の副作用があるので、ゼリー状の薬を出します。これにはカリウムを吸着する成分と便秘を予防する成分が含まれています」
会社に戻ると、現場の幹部が2人相棒と話しています。
「新潟のホテルのボイラーが壊れたらしいのです。取り敢えず2基あるうちの一つを回していますが、これも去年故障していたので持たないようです。1日は営業停止したのです」
「1基どのくらい?」
「5千万が相場です。ここは前回強引に分割依頼をしたので乗り気ではないのです」
そうですね。でも営業停止は売り上げにとっては致命傷です。
「損害保険は?」
「こちらでは家財保険だけしかけてないですよ」
「そうか。ここはホテルの所有権は社長の身内会社だったな」
これも資料を調べて分かったことです。引き継ぎのような書類は一つもないのです。
「社長と話してそちらの保険を調べてみるよ」