第79話会社の体質を変えないと
「部長は今の社長を首にしないのですか?」
リーダーの女性社員が現場からの書類を持ってきて声をかけます。
「私には上司を首にできる権限などないですよ」
「本社では問題になっていないのですか?」
「本社の社長はここの社長にまかせっきりですよ。でもよく持ちこたえている方です。ただこれからは今まで通りというわけにもゆかないでしょね」
今送られてくる補修工事と設備予定の見積もりは大変な額です。 それにすでに融資を終えているのに分割払いになっている支払いを考えると頭が重いです。
「大会社なら降格かもしれないけど、よくも持ちこたえてきたと私は感心します」
「部長は何が原因だったと?」 最近はよく話をするようになっています。
「10年も前から家賃はそのままで払い続けています。工事費や設備費も本社の借り入れで支払いを続けています。それでよく潰れなかったと思いますね」
「本社が悪いのですか?」
「いや、間に立っていた人が現状の報告をせずに放置してきた結果です」
「それは私達も入るのですね?」
「それほど大きくはないですがねえ。ただ本当のことが言えない会社にしてしまった社長自身の責任も重い」
でもそういう会社に入ったから頑張るしかないのです。
「部長お体は?」
彼女たちにもうすうす体調が悪いのは分かっているようです。 恒常的な貧血状態が続いているようで、顔色が青白くなってきているようです。