第78話提案
「暑くなって毎日歩くって言うのはどうなの?」
女房が心配して声をかけます。
「ネットを見たら、運動するとクレアチン人が上がると言われているけど、基礎体力をつけることは腎臓病に必要だと」
今のところこの意見に私は賛成です。
仕事も精一杯できるところまで頑張ろうと思っています。
今日も4時から本社の社長室に来るようにと息子から電話を貰っています。
最近は本社についても誰も声をかけてきません。
それでも社長室には局の経理の女性がわざわざ客用のコーヒーカップでコーヒを入れてくれます。
「前の報告書を読んだが、いろいろ問題があるようだね?」
最近は社長と二人だけの対談になっています。
「経費の方は社長の了解のもと、全体に2割のカットが達成しました。それに今月は1億9千万に乗る見込みです。これで月ベースでは黒字化です」
「息子がしていた時の報告書はあれはなんだったのだね?」
「あれは前の経理がダミーの月次決算書をこしらえていたのです」
「息子も了解していたのか?」
苦い顔で書類に目を通しています。
「こんなに問題山積みならどうすべきだと思う?」
「これはこちらの顧問税理士とも打ち合わせしましたが、このホテル運営会社はもう2年半になりますが、思い切って新会社に切り替えた方が無難なようです」
「よし検討に入ってくれ」
社長室のドアを出ると、専務はすでに帰社していて、ドアの近くに聞き耳を立てていた総務課長が
「あまり新しいことを提案されないほうが」
と声をかけてきます。こういう会社の体質は初めてです。