第48話クレアチニンが下がって維持するか?
ようやく病院の中を歩けるようになりました。
女房は失業保険の申請でハローワークなので、今日は病院には来ない予定です。
4人部屋が空かないので、どうもこのまま個室暮らしです。
入院費が心配です。
今日も朝から検査漬けです。
4時過ぎにベットに戻りぼんやりと窓から見える大阪城を眺めています。
いつの間にか若い女医がファイルを抱えて立っています。
「どうですかご気分は?」
「ずいぶんましになりました」
「クレアチニンが7.34から4.40まで戻っています」
「クレアチニンは5.00を超えると下がることはないとネットで見ましたが?」
「よくネットを調べられているのですね」
「以前にネット関係の仕事をしていたので」
「泌尿器科の抗がん剤治療は終わりましたか?」
「はい。最終注入が終わって1か月がたちますが、副作用が依然ひどくて。こんなに続くものなのですか?」
「私は専門ではないのでよく分からないですが、個人的な差がずいぶんあるようです」
と言って、ファイルを覗きこみます。
「抗がん剤治療は腎不全には少なからず影響があります。でもがんを治すには必要です。でもこれからは腎不全と前面に向き合った治療をしないとダメです。問題は4.40まで下がったクレアチニンが入院中に元に戻ってしまうか、4.00台を維持するかが勝負です。痛み止めと睡眠薬は極力腎臓に影響のないものに変えました」
何故か言いにくい部分があるようです。