第35話人工膀胱
専務が3度目の入院をしました。
それで社長命令で裁判資料の入っているロッカーが開けられ急に裁判の現実的な作業に入ります。
資料を見て初めて分かったのですが、3社の弁護士事務所が裁判を受け持っています。
さっそく今週に法廷がある弁護士事務所に会いに行きます。
「いや、助かりますよ」
弁護士が書類を抱えて説明を始めます。
「これは初めから専務に言っていたのですが、内容から勝てる見込みがないので頃よいところで和解の話をしてたんですが。結局社長が思い切り引っ張れと言われたので、地裁では負けて…」
書類を読んでみて、唖然とします。
どうもすべての裁判が問題点を明確にせず古漬けのようになっています。
「引き延ばせば勝てる!」
どうも社長の意見に現場が安易に乗ってしまっているようです。
2時間半にわたる打ち合わせに2度我慢できずにトイレに入りました。
今日はこの足で泌尿器科に検査結果を聞きに行きます。
相変わらず淡々と説明をします。
「今のところ再発はないですよ。1年目は3ヶ月ごとに内視鏡検査と尿細胞診検査を行います。再発がなければその後の2~5年間は6ヶ月ごとに行います。5年以降は1年に1回ですが、原則として10年以上続けます」
「やはり排尿痛が止まらず、血尿も止まりませんが?」
「場合によれば人工膀胱を覚悟しなければ」