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第31話膀胱縮小
ようやく精神的にも落ち着き、仕事も銀行対策という縄張り外の仕事を見つけてほっとしていましたが、
社長から直に呼ばれ、裁判を引き継ぐようにということを伝えられました。
この会社は30件ほども裁判を抱えていたのです。
これだけは専務の専売特許のようなもので誰もできないのです。
それが私は前社でしばらく裁判対策をしていたのです。
「そんなに簡単に引き継ぎ出来るものではない」
専務は裁判資料を鍵のかかる書棚に仕舞い込んでいて見せる気はありません。
こうなると不思議に不動産部長や経理課長から応援の声が飛びます。
力を合わせれば楽なのにという声は受け入れられません。
でも今日は最終の抗がん剤の注入の日です。
やはり黙々と注入を始めます。
「これで最後ですね?」
この叫び声も届かないようです。
「来週、膀胱鏡で見てからのことです」
それは約束違反ですよ!
「膀胱内注入治療を行っても20~30% の割合で再発します。尿検査・尿細胞診は月1 回、膀胱鏡検査、経静脈尿路造影、MRI は3 カ月おきに検査をしないとダメです」
「痛みは?」
「膀胱縮小も調べてみないとね」




