第2話クレアチニン
自覚症状がないので、再検査も女房には内緒で会社の昼の時間を使っていきました。
だがその地元のクリニックから携帯に電話が入りました。
「血圧と血糖値が高くもう1度紹介する病院に再検査をお願いします」
女の人の声が少し慌てていましたが、詳しい説明はありませんでした。
今度は昼休みという訳にはいかなので、上司となる専務に相談しました。
「まあ、ゆっくりやったらいいよ」
時々一緒に飲むようになっていたから、リレーションはできていたのでとくに届を出さずに出かけることになりました。飲むということは転職人間には必要な作業のようです。
大阪城が見える大きな病院を紹介してもらいましたが、検査を受けるのは一日がかりです。
仕方なく会社の部下に少し戻りが遅くなるという連絡を入れておきました。
10時から初診の手続きを済ませて、10時半に内科の順番を並びます。
「しんどくない?」
医者から質問されますが、とくに疲れるということもなくハードな仕事を今までこなしてきました。
「血圧は昔から高いの?」
「いえ」
「血糖値も高い。クレアチニンが4.5あるこれはいかんね」
クレアチニンについてこの時初めて聞いた名前でした。
「結果が出てからになるが、腎臓の治療を検討しないとね」
「会社に勤められますか?」
それが一番心配でした。
「通院になるがね」
帰ってインターネットでクレアチニンを調べましたが、正常値は0.59~1.21ということでした。