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第254話就業規則の偽造

「今回裁判官が替わることになったので、法廷が2か月延びてしましました。でも今日は相手の弁護士が就業規則を出してきました。それにより今回の懲戒解雇が正当と言う原点に戻ったような反論をしてきているのです」

農業訓練の後、労働裁判の弁護士から呼び出しがありました。

私は会社にいる時に総務部長として就業規則の見直しを始めていました。

「その就業規則私の入社7年前の日付になっていますね?これが私が検討していた同日付の就業規則です。ここには懲戒解雇の規定がありません。どうも裁判のために作った懲戒解雇後のもののように思われます」

「そこまでしますかね?そう言えば労働審判の時に被告から就業規則が出てましたね」

慌てて分厚い裁判資料を調べます。

「確かに言うとおりですね。解雇が有効と認められるためには、いくつかの条件があります。法律で解雇が禁止されている事項に該当しないこと。次に解雇予告を行うこと。これは全くされていません。解雇に正当な理由があること。これは今にところ被告の言い分はすべて反論できています。解雇の手順を守ることも行われていません。もう一つ重要な要件があります。就業規則の解雇事由に該当することです」

「懲戒解雇の文章が追加されていますね?」

「次回までに労働審判時の就業規則を付けて反論書を作ります。やはり総務部長ですかね?」

「社長の指示で彼が作ったのでしょう。次回私が出廷することはありますか?」

透析入院が頭にあります。

「新しい裁判長になると少し確認と言う作業が入ると思います」

事務所の外に出ると、久しぶりに相棒の部長から何度も着信がありました。





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