第1話ベムに続く道
これが最後の会社になるだろうなという漠然とした予感を感じて新しい会社に入りました。
会社は北浜にあって自宅の京橋から毎日歩いて通うことにしました。
それまでは旅行が好きで至る所に合間を作っては出かけていました。
今回も初めての業種ですが、リクルートの頃から慣れっこになっています。
会社の今までの資料をすべて読み込みます。
ただ総務部長の肩書なので、日常業務と並行してこなしていきます。
そんな時に定例の健康診断がやってきたのです。
健康診断については今まであまりこだわりがなく、呑気に出かけていました。
だが、今回に限って要検査の通知が来ました。
新しい職場でしたので、ちょっと困りました。
転職の始めのダッシュが大切なのです。
一度評価がついてしまうと、それを変えるのは相当な時間がかかります。
それにこれが元でこの職場を去るというのは辛いですね。
57歳の就職というのは大変でした。
証明写真を50枚は焼き増ししましたか。
もともと営業職から経営職に移っていましたので、飲む機会が多かったのです。
ただ煙草は銀行に入った時に辞めていました。
でも飲む機会は増えてゆくばかり。
健康というと毎日15000歩以上歩くことを続けています。
女房はパートを辞めるかどうかを私が続くかどうかで心待ちにしています。
要検査を受けたくないなと思いながら会社の近くのクリニックに出かけました。
これからこの話が始まります。