第192話脱税疑惑
女房が雇用保険のことを担当者に尋ねたら社長に聞いてみますと返事が戻ってこなかったようです。
私は今日は前回呼ばれた国税の担当者を訪ねます。
「前回は助かりました。あの中で比較的資料の集め安い分から請求をかけています。今回は東京からの依頼なんですが、会社から説明を受けても納得がゆかないものですから」
分厚い資料を抱えてテーブルに座ります。
労働裁判から色々なところに呼ばれています。
不思議に聞かれることによってその時に気づかなったことが見えてくることがあります。
「この会社は運送では東京の大手の運送会社の下請けをしていますね。約8割がその会社の仕事が占めていますね。ところが現場の運送業はグループ企業の3社が受けていますね。なぜ3社に分かれているのでしょうか?」
「私は運送部門ではないので聞いたことで話します。死亡事故のような重大な事件が起こるリスクを分散しているということのようです。とくに本社には影響が及ばないようです」
「なるほどね」
「ところでその会社の不動産部長が告発文を送ったようですね。それで寄付行為が会社ぐるみか個人の不正なのかこれが東京で問題になっているのです。これはこの会社だけでなく相当な範囲で蔓延しています。大手運送会社では個人の不正として解雇処分を始めています。だがこの不正が公に認められている節があります」
「告発文は?」
「すでに手に入れています。その他の会社の分も含めるとちょっとした数ですね。これは私の宿題ですが、トラック償却という言葉を聞かれたことがありますか?」
「裁判資料で見ました。不動産の建物償却のトラック版ですが、運送関係の法律に抵触するようですね?」
「まさにそうです。これはもう少し調査を進めたらお聞きさせていただきます」




