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第191話パワハラ

職業訓練の帰り道で商店街を歩いていると野太い声で声をかけられました。

「管理担当の?」

「久しぶりやのう。どこかに勤めている?」

「いや、まだ労働裁判をしていますよ」

「あの不動産部長がおらんようになってせいせいしたと思ってたら、今度は専務と総務部長が組んで不動産事業部を清算する話が出てきてさあ」

「専務とは仲が良かったんでは?」

よく昼の時間休憩室で2人で煙草を吸っていました。

「すっかり総務部長に抱きこまれよったわ。専務は大手の工務店の部長からバックをもろて管理をそこに任せると社長に言っているわ。総務部長とは毎晩スナックに行って分け前の話しとおる」

彼は元々トラックの運転手だったのですが、事故にあって管理に回されたと聞いています。

「部屋住みの管理の古株たちは情報が入ったようで機嫌が悪いんや。俺も長くないな。工事担当のねいちゃんも専務からえらいパワハラを受けとる。ねいちゃんもバツイチで娘がいるから我慢してるわ」

「なぜ専務がそこまで?」

彼女があの会社では一番まともに仕事をしていると思っています。

「それはなあ。彼女の5年前の入社を採用したのが専務で、毎晩スナックに誘ってついに再婚を迫りよった。それでみんなの前で恥をかいたんや」

そんなことがあったのか。

昔話はぞっとする話ばかりです。

「そうや。昨日社長の豪邸の倉庫にあんたの関係書類とパソコンを運び込んだぜ」

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