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第189話血判書の行方

今日は労働裁判の弁護士から送られてきた莫大な被告の準備書面や証拠のファイルを見ています。

これが一般裁判に入って再度提出されたものです。

労働審判時の同一のものもありますし、新たなものも混ざっています。

この中で一番肝心な解雇理由書が一番お粗末なのはどういうことでしょうか。

理由内容のポイントはすでにこちらで反論と証拠を提出済です。

被告は準備書面で繰り返し使い込み、不正、乗っ取り加担を上げていますが、ついに証拠は出てきません。

よくも行き当たりばったりで同じことを繰り返すものです。

「今いいかい?」

始めて私から相棒の部長に携帯を入れます。

「もうすぐ不動産部長と課長と酒を飲みます。今日は刑事訴訟の相手側の弁護士に会いに行ってます。やはり証人になることを決めたようです」

「と言うことは刑事訴訟の証言を翻すと言うことだな。偽証罪覚悟か」

「かなり追いつめられているようです。退職金も規定ででなかったようです」

「それで親父さん側につこうと言う腹だな。親父さんは乗り気だそうですが、弁護士が難色を示しているそうです」

「彼を使うということはリスクが多すぎるからな。ところで血判書のことを覚えている?」

「ホテルの最後の幹部会議にサインをさせたやつですね」

「あれを作った記憶がないんだ。それに現物もどこにあるか分からない」

これを聞きたくて携帯を入れたのです。

「・・・私もよく覚えていません」

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