第179話民事訴訟
とうとう手持ちのお金が底をつきました。
情けない話ですが、母親に少しお金を融通してもらいました。
医療費も馬鹿になりません。
でも仮払い訴訟もまだ第1審で同じような進捗で時間がかかっています。
今日は職業訓練の後ホテルの社長の民事の女性弁護士に会います。
「どうも刑事訴訟と民事訴訟を読み比べていますが、納得のいかない部分がたくさんあります」
これは原告が本社でホテルの社長に損害賠償を訴えています。
「総額12億ほどですが、そのうち10億は会社への貸付ですが、なぜ抵当権実行のような手段を取っていないのですか?」
「それはホテルのリホームや修繕費の貸付ですよ」
私は持ってきたUSBを差し込んで貸付一覧表を見せます。
「実はこれは本社の社長の息子が管理していたらしいですが、金銭消費貸借契約も存在しないものも多いようです。本来所有者の設備として償却資産として計上されています」
「と言うことは払う筋のものではない?」
「国税にもよばれてその話をしましたよ。ホテルの社長は払う気でいたようです。でも本社の社長は節税の気持ちが強かったと思います」
「後のお金は?」
「元の管理会社に払っていたお金を不正と言っているようですね」
「なのに被告は今まで反論しなかったのですか?」
「彼は親父さんとも本社の社長とも争う気がありません。板挟みなのです」
「でも少し気が気が変わったようですよ。力を貸していただけますか?」
「最後まで力を合わせてきた仲ですから。もちろんです」




