第176話嘘をついている
「ちょっと時間作ってくれんかなあ」
Y署の暴対刑事の声です。
「今日は忙しくていけませんよ」
「いや、こちらから出向くからさ。近くの喫茶店を指名してよ」
結局強引な申し込みで教室の近くの喫茶店で4時に会うことにしました。
喫茶店に駆けこむとチンピラやくざが2人ジャージ姿で足を広げて座っています。
「すぐに済ます。不動産部長がホテルに殴り込んだのは知ってるね?」
「そちらの署ですか?」
「ああ、その中にいた水道屋知っている?」
「その人は会ったこともありません」
「そいつがあんたを名指しで支払いを拒まれたと言ってんや」
顔写真を見せますが、私が面会した社長と部下のどちらでもありません。
「その男の鞄にお金が入っていた」
「300万じゃないですか?」
「いや250万や。詳しいな。どこから出たか分かるか?」
「総務課長が300万経理から出して50万はバックで貰ったのではないかと聞いています」
「その総務課長から貰ったとそいつも言っている。そこは合っているが、総務課長は不動産部長から指示されたと言っている」
「不動産部長は?」
「俺がすべて指示したとがんと言い張っている。そういう会社なのか?」
「ありえませんね。お金を出すときはすべて社長のOKが入ります」
「分かったありがとう」




