表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/359

第171話社長逮捕で真相は解明されるのか

「ここまで来たら行くしかないと思う」

女房の同意を受けて弁護士に強引に賃金仮払いの預り金を送金しました。

膀胱がんと腎不全を背負ってどこまで頑張れるのだろうか?

でも進むしかありません。

今日は刑事訴訟の弁護士から職業訓練後証人調書の確認に来てほしいとありました。

部屋に入るとネクタイを締めた見知らぬサラリーマンがいます。

私にはもう名刺はないので相手の名刺だけをいただきます。

某大手新聞の記者です。

「彼は時々刑事事件の時に連携しているのです。それで今回のことを話していたら初めてOKが出て」

と言いながら明日の朝刊のゲラを広げて見せます。

「実は本社の社長があなたが言ったように今朝逮捕されました」

「でもこれは別件逮捕です。普通は広報が出てきませんが、今回は詳細に事件の内容を説明してくれました。これは警察が求めた逮捕ですね」

新聞記者が頷くように言います。

「私は弁護士さんを始めに調書を調べてみてもう一つこの社長が見えないのです。どの調書を見ても社長が直接出てきていないのですよ」

「私も仕えてきた歴代の社長の中では珍しいタイプです。数人の幹部にぼそぼそ意志らしいことを伝えて自分の思いを形成してゆくのです。幹部はそれを極端に現実の形に変えていく。それが気に食わなければまた別の幹部に違う指示を与えるのです」

「困った男だなあ」

「彼は当初和解して新しい会社体制を認めましたが、その時点から頭の中では自分の思う会社体制を着実に描き始めていたのです」

最近になって私にもようやく見えてきました。

でも警察や裁判官がこの複雑なこの男の心の中を読めるとは思いません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ