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第162話予想外の和解

女房のパートが決まって今日から出勤です。

「本当にいつになったら裁判は解決するの?」

「やはり予想通り労働審判では決着がつかなかった。腎不全と膀胱がんの副作用のある状態では就職どころではないし…」

最近ネットで仮払い訴訟を調べています。

まだ実際に行うレベルのところまで来ていません。

先ほどから相棒の部長の携帯を鳴らしていますが反応がありません。

この時間は労働審判の彼だけの法廷があり弁護士とともに出ているはずです。

前回では会社は和解の気は全くないとのことでした。

仕方がないので弁護士に携帯を鳴らします。

やはり携帯に出てきません。

6時になり弁護士から連絡が入ります。

「何度か電話いただいたようですね。次の法廷が入っていましてね。彼は和解になりましたよ」

「和解?」

予想外です。

「総務課長も同席していたのですか?」

「いえ、和解については裁判官が直接社長と電話で話をしたのです。どういう話し合いになったのか分かりませんが、裁判官から100万という数字が提示されました」

30万というのが精一杯の数字だろうと弁護士が言っていたが・・・。

「彼に受けるよというと頷きましたので和解に応じました」

何か狐に抓まれたような気持ちです。

部長からその日は携帯が入りませんでした。


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