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第158話印鑑の引渡し時期

案の定朝一番にY署の暴対の刑事から呼び出しの連絡です。

もし働いていたらこれは大変なことになります。

「息子がこの建物にいる。ホテルの社長はH署でやってるが、彼奴は知らん知らんの一点張りや」

「部長は昨日呼ばれたらしいですね?」

「・・・ちょっと詰めなあかんことがある」

そう言って調書の束を慌ただしくめくります。

「実はなあ、ホテルの重要な書類がかなりの量をある時期にこしらえられている。ホテルの社長は4月の後半に印鑑を渡すように専務に言われたと言っている。息子は自分はそれには直接タッチしていないと黙秘しているわ。総務課長に聞くと印鑑が届いたのは6月の後半だと言っている」

ホテルの社長はなぜあまりにも早い時期を選んだのだろう。

総務部長は重要書類を作成した日より後に印鑑を貰ったと主張しようとしています。

「部長はどう言ってるのですか?」

「彼奴も自信なさそうやったな。5月に入ってからと言ってたな」

「重要な書類とは株の引き渡しにかかわる?」

「そうや」

息子も嘘をついている、引き渡しを伝えてきたのは彼なのです。

「それぞれ証拠があるのですか?」

「そんなものない記憶だけだ」

「私のUSBの記録では5月の中ぐらいから6月5日にはすべての印鑑を渡し終えています」

「USBに記録が残ってるわけやな」

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