第153話被告の逮捕
今日は職業訓練の帰りに刑事訴訟をしている担当弁護士のところを覗きます。
椅子に座るなり弁護士が朝刊を開いて見せます。
「息子とホテルの社長が逮捕されましたよ」
暴対刑事の声が聞えてきそうです。やはり・・・。
「これからどうなるのですか?」
「逮捕された場合、最大3日間、身柄を拘束されます。逮捕して3日以内に、検察官は、裁判官に対して、さらに身柄の拘束を行うように請求します。これを勾留といいます。勾留は、まず10日間行われ、さらに長くて10日間延長されます。つまり、身体拘束は、最大で22日間続くわけです」
弁護士は丁寧に説明してくれます。
「22日も?」
「おそらくそうなるでしょう」
「でも息子では真相を究明するのは難しいと思います。それは刑事にも言いましたが?」
「それはどうして?」
「彼は親父の言いなりに作業しているだけなのです。作業の意味が分かっていない」
「問題はどうして社長を引きずり出すかなんです」
「社長は誰とも相談せず黙々と息子や社員を動かしています。彼自身が命令することはめったにありません」
「貴方の場合は?」
「ほとんど任せきりでした。何か気になることがあると不動産部長に何か囁くのです」
「息子ではだめですか?」
「まだ司法書士の方がいいかもしてません」




