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第145話会社の乗っ取り?

刑事訴訟を担当している弁護士が急に会いたいということで呼び出しを受けました。

「最近ホテルの社長とは会いましたか?」

「いえ、Y署に行った日に会っただけです」

「彼はH署に何度も呼ばれていて少しノイローゼ気味です。同じH署の知能犯刑事に会われたそうですね。何か感じるところはありませんでしたか?」

この弁護士は刑事事件が専門で年齢の割に熱血漢なところがあります。

「H署の刑事はホテルの社長をかなり疑っているようでした。刑事訴訟では社長は共同原告になっていたようですが?」

「そういう組立で走ってきました」

「刑事は株式分割時には本社の社長とホテルの社長は相当話し込んで進めていたという周りの証言を取っています。これは私が専務になる前のことなので肯定も否定もできませんが、料亭で本社の社長に紹介されたときは信頼が厚いと言う雰囲気でした。訴状を見るとこの時から冷たい関係であったようなとられ方がしますが?」

「そういうニュアンスでした」

「H署の刑事はホテルの幹部にも何人か会っていますし、本社にも尋ねて行っていろいろと聞きだしているようでしたよ。彼は元の会社の原告の社長から心は離れていたように」

「これは大変な問題です」

「一度その辺りを共同原告同士で話し合った方がいいのではないですか?」

弁護士は訴状を繰りながら、

「この後にこの株式分割した原告の株式を強引に買い取ってしまっているのです。民事ではこの部分しかわからなかったのでこれで争っています。刑事ではここまでを含めて乗っ取りとして訴えています」

訴状を見ると、私が専務でホテルの会社に入ってしばらくして内緒で買い取りが済まされています。

これはどうもまったく分からないところで係争が始まっています。

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