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第131話訴訟の要件に満たず

「今よろしいですか?」

労働審判の申立書を読み返していると携帯が鳴りました。

「ああ、君か」

リーダーの女性です。

「結局3人がそれぞれのハローワークに行き、会社の自己都合に○をつけられた離職票で会社都合と訴えましたが認めてもらえませんでした。私だけはそのまま帰り弁護士事務所に来ています」

やはり。ハローワークの担当にもよることに期待しましたが。

「元上司の方ですか?彼女に事情を聴きましたが、退職願も出ていて離職票となると不当解雇は無理ですね。このような場合最低の要件が固まっていないと無理なんです。でもついつい会社側の言うとおりにしてしまうのですよ。ほん1か月前に新会社に代わられていますが、これも自己都合で新会社に移った形になっています。ということは試用期間の退職になります。少したちの悪い総務課長ですね」

弁護士から彼女に代わります。

「専務から言われていたのに情けないです。この件で3人とも仲たがいをしてしまって」

それだけ言うと後からかけますと切れました。

申立書を弁護士にメールで送信しました。30分ほどたって、

「お手数かけてすいません。せめても恩返しに情報を。ホテルの運営は本部で元専務の支配人がしていますが、各ホテルから半分ほどしか売り上げが入ってきていない状況です。でも彼も親会社も気づいていません。それに社長は不動産部長の押すこの支配人を信用していないようです。お体の調子はどうですか?」

「ぼちぼちです。それより部長は退職を伝えましたか?」

「総務課長と話していたようですが、元専務の支配人とよく飲み歩いているようです。どうしたいのかよく分かりません」

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