へんしんくつした
小さいころ、靴下はどの組み合わせて履いても気になりませんでした。
でも、それはいけません。ちゃんとしなさいって怒られたりして。
学校に通うころになると、組み合わせを変えるなんて思うこともなくなりました。
最近はファッションで違う柄のくつしたを履いたりするようになりましたよね。
違う柄履いてもいいよ、って昔の小さいわたしに伝えたくなり、かわいい童話を書いてみました。
声に出して読んでもらいたいです。
パンパカパーン…。パンパカパーン…。
押し入れから音がします。
なんだろう。しゅうちゃんは音をたよりに押し入れをごそごそ。
奥のそのまた奥にきらっきら光る箱を見つけました。
パンパカパーン取り扱い注意。
パンパカパーン取り扱い注意。
箱は低い声でブーンブーンうなりました。
きっとマジックショーでみたマジックの箱だ。
ハトや紙やいろんなものがいっぱい出てきて、楽しかったやつだ。
どうやって開けるのかな。
そう思ったとたん、ぱかーんと勝手に箱が開きました。
中にはいろんな柄のくつした。きちんと並んで入っています。
いったいなんだろ。はいてみよ。
白と黒のしましまくつした。右足をうんしょ、うんしょ。左足をよいしょ、よいしょ。
はいてみると・・・。
なんとしまうまにだいへんしーん。サバンナを仲間と一緒に走ります。風がとっても気持ちいい。
パッカパカ。パッカパカ。
さてさて、次はどれにしよう。
しましまくつしたぬぎすてて。
茶色のくつしたにふさふさした毛がついてます。右足をうんしょ、うんしょ。左足をよいしょ、よいしょ。
はいてみると・・・。
強いライオンにだいへんしーん。がおーと鳴くと耳がキーン。大きな声だ、びっくりだ。
しゅうちゃんはおもしろくて次々とくつしたを取り出しました。
右足に白いほわほわの毛のくつしたをうんしょ、うんしょ。左足に黒いごわごわした毛のくつしたをよいしょ、よいしょ。
あらら、違ったくつした。まちがえた。
すると・・・。
ゴリラなのに耳がうさぎのおもしろ動物にだいへんしーん。
大きな黒いゴリラの体にぴーんと長くてかわいい白いうさぎの耳。ひらひら耳を動かすと小さな音も聞こえちゃう。
これはたいへん、たいへんだ。しゅうちゃんはくつしたを投げ捨てて。
今度は右足に黒いしかくのもようがピカリと光るくつしたをうんしょ、うんしょ。左足に黄色に黒のもようのくつしたをよいしょ、よいしょ。
すると・・・。
きりんなのに体はワニのびっくり動物にだいへんしーん。
川の中をスイスイ泳ぎます。くびを伸ばすと潜水艦。隊長!前に大きな鳥を発見しました!
楽しいけれど、ちょっとへん。
しゅうちゃんはまたまたくつしたをぬぎすてて。
右足に白に黒のもようのくつしたをうんしょ、うんしょ。
あれ、もうかたっぽどこいっちゃった。
その時です。
箱から大きな声がします。
パンパカパーンへんしんくつした大当たり。
パンパカパーン今日の当たりは牛のくつした。
パンパカパーンあなたを正義の味方に任命します。
右足だけくつしたをはいたしゅうちゃんは
頭が牛で体は人間、牛人間にだいへんしーん。
なんだかちょっぴりださいけど、とりあえず正義の味方になりました。
バシっとポーズ。かっこよく雄叫び。
モー。モー。
いまいちしまらないけれど、正義の味方は今日も行く。
モー。モー。モー。
困っている人いませんか。
モー。モー。モー。
なんでもお助けいたします。