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アウェイカー  作者: シュツェルハント
3/3

ヴォドムの脱獄

 翌日にニュースで、とある凶悪犯の脱獄が報じられた。

 男の名はヴォドム・パーキンス。男のとある特徴が世間で話題になっていた。


 その日の授業でクリスは先生の話に熱心に聞き入っていた。

「レノ先生。で、そのヴォドムって脱獄犯はこの街に逃げ込んだんですか?」

「それはまだわかりません。行方は今市警が必死に追っているところですよ」

 レノと呼ばれる青い長髪の教師は十数人の生徒達を見渡して注意を促す。

「決して下校は一人で行わないように。なるべく人通りの多い道を通って帰るように」

「ナニがそんなに危ないのですか?」とアルパ。

「お前、先生の話聞いてんのか、殺人犯だぞ。今この街で起きてる連続殺人、そいつのせいかもしれないんだ」

「オオ・・・」

「オオって・・・アルパあなた」とニコが突っ込みを入れる。

「先生、犯人の特徴とかってわからないんですか」とユアが手を挙げる。

 レノは静かに首を横に振った。

「残念ながら容姿にまつわる情報は発表されていないんだ。ただ、一つ」

「ひとつ?」と子供達が尋ね返す。

「アウェイカーだって、ことはわかっている」

 その言葉にクリスはふと押し黙った。クリスだけではなかった。

 ユアもアルパも二コも、他の生徒を除いて彼らだけが押し黙った。


 要はお前らと同じ化け物だろ


 誰かが発言したわけではない。でもクリスははっきりと聞き取っていた。

 クリスの表情の変化に、ユアが隣からそっと肩に手を掛ける。


 気にしない気にしない


「さて、暗い話はこのくらいにして、今日は皆にいいニュースもあるんですよ。さぁ、入ってきなさい」


 レノの言葉に教室に入ってくる一人の少年。

 金髪に青い瞳の彼は異国の雰囲気を携えていた。


「さぁ、自己紹介して」

「はい、リファです。以前は隣町に住んでいたんですけれども、両親の仕事の都合でこちらに引っ越してきました」

 いわゆる美形男子の発言に教室の女子は釘付けになっていた。

「好きな事は読書です。本を読んでいると落ち着くんです。もし、何か面白い本を知っていたら何でも良いので教えてください」

「人間大爆笑・爆裂百科伝・二の巻とかおすすめですよ」とアルパ。

「ありがとう、近くの本屋で探してみますね、あるかな」と軽く笑顔で流すリファの受け流しスキルに感動を覚える生徒達。

「まだ、色々分からないことだらけなので、もし良かったら色々教えてください。よろしくお願いします」

 綺麗にまとめたリファを席に着くように促すレノ。


 そのときだった。たまたま横に足を出していたクリスと接触したリファがよろめいた。

 その瞬間をクリスは間近ではっきり見ていた。


 よろめいて転ぶはずだったリファの身体が一瞬浮いて持ち直したのだ。


「あ、ごめんね」

 リファはただ一言、そう微笑んで席に着いた。

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