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アウェイカー  作者: シュツェルハント
1/3

焼け付いた凍傷

 その男は苦しんでいた。

 ただ無造作に転がり、悲鳴を上げる。


「助けてくれ、金なら出す。何か気に触ったことをしたなら心から謝る」


 そういうことではないんだ。

 焼け焦げた臭いが鼻腔をくすぐる、この臭いが創造力を掻き立ててくれる。


「俺が何をしたんだ。ただ街ですれ違って肩がぶつかっただけじゃないか」


 そう、ただそれだけの関係。だから、都合が良かった。


「頼むよ、金ならいくらでも出す。命だけは助けてくれないか」


 幾度、この命乞いを聞いてきただろうか。そして、一度でも耳を貸したことがあっただろうか。


「助けて・・・・・・くれるのか・・・・・・」


 そっと、転がった男の腕を取って支える。そう、これで最後だ。


「・・・・・・恩に着る」


 男は異常に気づいたのだろう。その手が帯びた冷気に。

 そう、この後がいつも好きなんだ。


「冷たい・・・つめたい!? なんだお前、どこから! ああぁぁぁぁぁ!!!」



 とある小さな街の翌日のニュースではある一人の中年のサラリーマンの死が報じられた。

 死体は、全身に火傷を負い、そして凍傷を負っていた。

 葬儀は身内でささやかに、そしてしめやかに行われたという。


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