白雪姫
私達の仕事は絵本を書く際にその内容が小さなお子様たちが見ても悪影響にならないかをチェックし、もし悪影響になりそうならそれを書き換えるというなんとも地味なお仕事をしています。
今回チェックするのは白雪姫。
私達は早速、そのお話のチェックをするために、ある城に侵入しているところなのです。
〜【とあるおしろのとあるへや、うぬぼれきさきがごしつもん、だれがきれいとごしつもん。】〜
天高くそびえる立派な城の、高い高い塔の上、そこについている窓から中を覗くと、例のターゲットがいました。
「鏡よ鏡、世界で一番美しい者は誰だい?」
「はい、それはお妃様でございます。」
なんだか鏡と問答しているようです。
しかしあの鏡、いったいどんな仕組みなんでしょうか?メルヘンな世界でそんなこと考えるのは野暮だとわかってはいますがどうしても気になってしまいます。
おおっと危ない、当初の予定を忘れるところでした。確認のため、一応相棒に聞いておきます。
「あれが問題のお妃ですね。」
「はい、調査報告書によれば彼女の行う行動が、小さなお子様に悪影響を与えるとのクレームが多数存在します。」
この頼れる相棒は、私の補佐役として一緒にこの案件を担当することになったアンディー君です。とても強くて頼り甲斐がありますが、案外少し抜けてる所があります。
「最近のモンスタークレーマーは何でもかんでも悪影響悪影響、おかげで私達の休日は減るばかりですよ。で?その問題行動はいつ起こすんです?」
「白雪姫が、7歳ぐらいになった頃です。」
「了解、それまでページを進めますか。」
お妃に気付かれないようにこっそりと窓から離れ、空に向かって思い切り飛翔します。そして何もないはずのところを掴み、思い切りめくりました。