11話
短いです。
今、この場には一人の人間と彼を囲うように六色の色を持つ精霊だけだった。
王と呼ばれる男は蒼色の精霊の告白に思わず片手で顔を覆う。黙ったままの男に直ぐにでも部屋を飛び出していきそうな精霊達の名前を呼んだ。
「落ち着け」
未だに顔を覆ったまま話す男に黒色の精霊が近寄る。
『今すぐ確認しなければならないこともあるのだぞ』
「待て。それよりも先に我々はやらなければいけないことがあるだろ」
そう言えば部屋に描かれている五芒星を見渡せばそのうちの四色がハッとする。
「空いた席を補わなければならないのは分かってるよな」
『まだ空いていない!』
『そうよ、彼がそう簡単に居なくなるわけないわ』
「確信がない」
『何故そう言いきるのだ』
黒色の精霊が恐る恐る王を伺う様子で訪ねれば彼の瞳に宿る熱に己の纏っている光がわずかに収縮する。
王達の会話のやり取りを聞いていたロクシェは困惑しているシュルツを視界の端に止めながら王の前へと移動した。
『ここからは、私が介入してよい内容ではないので退場させてもらう』
ロクシェがシュルツも連れて行こうとする前に青色の精霊が彼と向き合った。
『はい終わり。次の会合は顔を出してねシュルツ』
彼女の言葉にシュルツは何か言おうと口を動かす前に彼女はシュルツの肩をトン、と触れれば蒼の色が部屋から消えていた。ロクシェはそれを見届けてから己の契約者の元へと戻っていった。二色の色が居なくなったのを見届けた王は残りの四色を一瞥した。
「今私が出来ることは付け焼き刃みたいなものだ。それでも民が、国が助かるならば構わない」
王はそう言うと右手を五色の玉の上へとかざそうとした。
『待って!』
突然白色の精霊が王の右手に飛び付けば小さな身体で彼の手を強く抱き締めた。
『待って!統治する者が不在の今、貴方まで色を使い失えばバランスが崩れてしまう』
必死の形相で懇願してくる白色の精霊の姿に王は反対の手で彼女の頭を優しく撫でた。
「その時は、助けてくれ」
いつもの眉間に刻まれた皺はなくなり優しく微笑む王の姿に遥か昔に出会った一人の男の面影を思いだし白色の瞳から涙が零れた。
◇◇
「兄上、見てください」
王国より離れた場所で金色の髪を持つ少年が黒髪の少年と青年の間ぐらいの容姿をした彼に向けて空に指をさした。
「まるでお前と、これみたいだな」
兄上と呼ばれた彼は、指輪に埋め込まれたそれと彼の瞳を見比べながらそう返すのだった。
その日クレイアン王国の城から赤色の光が一直線に空を駈けていくのを見届けたのは、その色と同色を所持した限られた者達だけだった。
最後が納得いかない……。もしかしたら突然変更するかもしれません。




