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9話

視点が違います。

六月三十日に精霊の設定を変えました!知識が浅はかですみません。

 幼い少女は私の契約者であるカーミリアンの部下たるグレイスにより抱かれ気を失っていた。彼女の中に確かに感じる色を私の色の共鳴により引き出そうと色を強く纏った。黄色の光は潜んでいる色を呼ぼうと彼女の心へと向かっていけばそれを拒む強い反発力をもって私そのものを払い退けたのだ。


「どうしたロクシェ!」

『……気を失ってる』



 不意討ちにより一瞬起きたことに混乱していたがカーミリアンの声により冷静になる。


「とりあえずソファーに寝かさせてくれ」


 カーミリアンや私よりも早く少女の父親であるグサノスが誰も座っていないソファーへと彼女を寝かせれば母親のシーナがどこからかシーツを持ってきて優しく掛けていた。その慣れた様子に引っ掛かったのをカーミリアンも同じようだが今この場で話すことではないので私は彼らの息子へと近付く。


『先ほどから振れなかったが要件が変わった。久しぶりだな』



 リードの斜め左で隠れるように色を消しこちらを見ていたが生憎それは人に対してだけで同じ種族である私には効かない。


『久しぶりだな』


 観念したように青空色の光を纏い現れたのはシュルツだった。人嫌いのシュルツが加護したことにも驚いたが彼がこの場に居たことにも気にかけたが案件ではないため放置していたのだがそうもいかなくなった。


『言いたいことは分かってる。だが無理だ』

『もうやったのか?』

「ちょっと待ってくれ」


 私とシュルツとの会話に慌てて割り込んできたのはカーミリアンだった。シュルツは鬱陶しそうに見るので変わらない態度に溜め息が出そうだ。


「五歳未満に共鳴を使ったのか。それは盟約違反ではないのか」

『そんなの知らぬ』


 しらを切るシュルツにこれだから若い精霊はと悪態を付きたくなるのを我慢し会話を戻そうと口を開いた。


『そんなことはよい、いつしたのだ?』

『……二週間前だ』


 二週間前に反応したクランブル家にカーミリアンがグサノスを捉えた。


「ここ一ヶ月、彼女に何か起きたことはあるか」

「実は、これまで娘の容態が酷かったのですがある日をきっかけに緩和されてきているのです」

「それはいつ頃だ?」

「……二週間前です」


 グサノスの答えにカーミリアンは胸元に幾つか付けられた勲章の一つを取り出せば急いでセルシアの元へ駆け寄る。それと同時に私とシュルツも近寄った。勲章をそっとセルシアへと近寄らせると瞬く間にそれはピシリと音をたてるや否や霧散した。


 その場の誰もがその光景に言葉を失った。勲章に施されたそれは大人の三人はもちろん誰もが周知している色を纏った物だった。私の纏う色は黄色、シュルツは蒼色。私は少し特殊だが原色で彼のような原色から創られた混色を持つ精霊の方が多い。だが霧散したそれは国王により承れた純粋の色を纏った赤色の原色だった。

それが跡形もなく消え失せたことにより示した意味を私は震撼した。


「ここに、居たとは……」


 吐き出すように呟やいたカーミリアンの声に部屋にいる誰もが耳にした。そして次の瞬間彼の表情が一転する。



「グサノス第三隊副隊長」

「はい」

「私は今から王宮へ向かう。報告待ち次第すぐに動けるようにしておけ」

「分かりました」


 グサノスとのやり取りのあと急ぎ足で扉へ向かうカーミリアンは表情を曇らせるリードの頭を撫でた。


「また来るよ」


 それだけ伝えれば扉の奥へと消えていく。残された私は思い出したようにカーミリアンが彼女へと渡したベルを眺めた。

 ベルに埋め込まれた無色の水晶をじっと眺めればそれを持ち上げた。


 優しい音色と共に感じ取ったそれを借りると言い残して私も部屋を出たのだった。




『どこに行くのだ』


 私の後ろを付いてくるシュルツに私はある一点を見つめて言い切る。


『彼らに会う』


 私の示す彼らに察したシュルツは眉を下げたものだから目を細めた。


『ちょうどいい。顔だせばいいだろ』


 無言で付いてくるシュルツに固定と受け取り私は急ぐのだった。







さてさて城は何があるのでしょうか。王宮と城、どっちにしようかな……。


12/12グサノスの名前間違えてましたすみません!

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