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月を仰げば。  作者: 水城
プロローグ
1/18

1

 くすりと、小さな笑みをこぼす。

風が心地よく、首を、頬をするりと撫でて去って行く。

心地よいその感覚。また特に理由も無く、笑みをこぼす。

ふと、陰が晴れる。身を覆っていた薄暗い陰が。


「綺麗だな」


 空を仰げば淡く、鈍く光るその月明かりがいつも変わらずそこにあった。いつだって変わらずそこにある、光は俺にとって安堵させる光で。

陰で生きる俺にとって、唯一の光で。


 ふらりふらりと、月明かりに照らされた道を歩く。暗い道のりをただ何の目的も無く歩く。

それが俺の毎日の日課で、それが俺の毎日の習慣で。すれ違う人は、夜遅くの為か殆どおらず…またそれが安心する。

一つ言えば俺はおそらく対人恐怖症である。”おそらく”というのは、産れてこの方殆ど人と接した事が無いからである。全くという訳ではない。ただ、人と話す機会が少なかったのだ。


 俺に何かがあるというわけではない。だからといって何もない訳ではない。

ただ、必要が無い。

普通に過ごしている人とは別に、昼夜を逆転させて、ただ意味も無く、ただ、ふらりふらり夜に出歩き、帰ってまた明日、今日を生きる。


 自分に何もふりかからなければ、自分から面倒事に突っ込む事がなければ、それで良かった。


 ただただ、平平凡凡に…。


 なのに…、









 「君を我が、藤堂学園に迎え入れたい」


何故、こうなってしまったのだろう。

何をどう間違えて、俺の人生は狂ってしまったのだろうか?





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