悪夢
そんな時、どうしようもない事への悔しさと、やるせなさが込み上げてくる。
自分に対する恐ろしいほどの憎悪感。
それは、人生最大の屈辱と共に、自身を自己嫌悪の渦に引きずり込んだ。
何もかもが嫌になり、全てが投げやりになる。
「どうせ自分なんか…」なんて思えるうちはまだいいほうで。
悪くなれば何も考えられず、ただ、虚しいだけ。
喉元を掻き毟りたくなるような衝動が襲う。
手の指が痙攣し、血の巡りだけが異常に早くなる。
視力が落ちた気がして、瞳孔さえも、主の意志を無視し始める。
不意に、人間である事を忘れ、歩く事も、立ち上がる事も、喋る事も出来なくなる。
獣のように床に這い蹲り、吐く息と共に、微かな呻き声を上げる。
人間とはここまで脆く、弱いものなのか。
心の底に潜む、黒い影への怨恨。見え隠れする殺意。
けして許すつもりはない。許していいはずも無い。殺してやりたい…。アイツに、自分と同じ恐怖と苦しみを…。
奴は、何度も殺された。この頭の中で、そして、いつも奴は泣き喚く「助けてくれ」と。
誰が助けてなどやるものか。己のした事を認めろ。罪を、償え。
それでも、現実に、アイツに制裁を食らわさなかったのは、自分が弱いから。
この世には、未練も、何も無いはずなのに。また、再び。人にあの目で見られる事は、心の奥の自分が、どうしても嫌がった。
真っ暗な世界で、一人佇んでいる我の心は、一体どこで落としたのだろう。
冷たい地と空に、ずっと探し続けていたのは、光り輝く、自分の心。暖かな感情。
とうの昔に失った、あの楽しかった日々に、本物の笑みを、捧げたい。