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悪夢

作者: 二葉 サナエ

そんな時、どうしようもない事への悔しさと、やるせなさが込み上げてくる。

自分に対する恐ろしいほどの憎悪感。

それは、人生最大の屈辱と共に、自身を自己嫌悪の渦に引きずり込んだ。


何もかもが嫌になり、全てが投げやりになる。

「どうせ自分なんか…」なんて思えるうちはまだいいほうで。

悪くなれば何も考えられず、ただ、虚しいだけ。


喉元を掻き毟りたくなるような衝動が襲う。

手の指が痙攣し、血の巡りだけが異常に早くなる。

視力が落ちた気がして、瞳孔さえも、主の意志を無視し始める。


不意に、人間である事を忘れ、歩く事も、立ち上がる事も、喋る事も出来なくなる。

獣のように床に這い蹲り、吐く息と共に、微かな呻き声を上げる。


人間とはここまで脆く、弱いものなのか。


心の底に潜む、黒い影への怨恨。見え隠れする殺意。

けして許すつもりはない。許していいはずも無い。殺してやりたい…。アイツに、自分と同じ恐怖と苦しみを…。


奴は、何度も殺された。この頭の中で、そして、いつも奴は泣き喚く「助けてくれ」と。


誰が助けてなどやるものか。己のした事を認めろ。罪を、償え。


それでも、現実に、アイツに制裁を食らわさなかったのは、自分が弱いから。


この世には、未練も、何も無いはずなのに。また、再び。人にあの目で見られる事は、心の奥の自分が、どうしても嫌がった。


真っ暗な世界で、一人佇んでいる我の心は、一体どこで落としたのだろう。


冷たい地と空に、ずっと探し続けていたのは、光り輝く、自分の心。暖かな感情。

とうの昔に失った、あの楽しかった日々に、本物の笑みを、捧げたい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大変大好きな作風で、問題の無いテクニックなんですが心が弾みません、何が悪いか読み返しても分かりません。つまらないです・・・あまりこの手の作風で悪口は無いのですがつまらない、全部いいんだけどつ…
2008/09/14 20:16 退会済み
管理
[一言] 狂気的な感情がよく描かれていると思いすま。僕はこういう作風は好きなので、とっても面白く読めました。 現実と想像を対比する事で、より主人公に親近感が持てた気がします。
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