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第二話

ブルグ村を出て数時間・・・ルーナとナルは王都・ツェップへと続く街道を、南へ南へと南下していた。

『お腹空いたから何か食べようか?近くに、河があるみたいだからさ』

彼女がそう言うとナルは待ってましたと言う感じで目をキラキラさせた。

『行こう、今すぐ行こう!』

子供の様にはしゃぐナルを見たルーナは顔を綻ばせた。


サァァァァ・・・

ブルグ村近くの湖からイザル湾へと流れてるブルグ川のせせらぎが心地良い。

『さて・・・』

座れそうな岩を見つけたルーナはその岩へと腰かけるとローザ特製のツナサンドイッチが入ったボックスを開けた。

その瞬間を見逃さなかったナルは器用に口でパクッとくわえると一口で平らげてしまった。

『ナル!行儀が悪いわよ!!』

ルーナの怒声が静かな川辺に響く。

それにビックリしてなのかは定かではないが木々に止まって羽を休めていたであろう鳥達が一斉に羽ばたいて飛び立ってしまった。


『悪かった、そんなに怒らないでくれよ。』

食後、少しだけ休んだ一人と一匹は少しづつ王都へと近付いて行っていた。

そして、ナルが口を聞いてもらえたのは陽が西へと傾きだした頃だった。


『ナル?どっちが良いと思う?陽が沈み出し真っ暗になりつつある不気味な森を強行軍で抜けるか、ここから南に10km程度行った場所にある小さな村で一泊するか』

するとナルは少し考えた後に、意外な返事を返して来た。

そう、真っ暗になりつつある森に強行突破を仕掛ける方向で行こうと言ったのだ。

こうして真っ暗な森に足を踏み入れたのだが今から起こる恐怖を一人と一匹は知るよしもなかった。『うわぁぁぁぁ、ルーナ!!オレ、怖いよ!今更だけど・・・村に行こうぜ。お化けとか出そうだぁぁ』

森に入って数時間後、ルーナが簡単な魔法で明かりを出して歩いていた時にナルがかなり震えた声で言った。

そんな時である、どこかで低い唸り声・・・それも前後左右全てから聞こえてきた。

これがナルの恐怖心に拍車をかけたのだろう、ギャッ!と叫び背に生えた羽を羽ばたかせ逃げてしまった。

一人残されたルーナは護身用ナイフを出してなるべく安全で見通しの聞く、とは言っても既に深夜になっており唯一の明かりは自分で出した照明魔法の明かりだけだ、場所に音を立てずに移動、そして明かりの光度を落とし相手の出方を待った。


そんな折り、背後から声が聞こえたのですぐ武器を構えて明かりの光度をフルまで上げて目標を捉えた。

そこにいたのは文献でしか読んだ事のない、ゾンビと呼ばれる不死と思われる肉体を持つアンデッドモンスターだった。

『クッ!か・・・かかってきなさい!』

強がってみるが声が震えてしまっている。


一方その頃・・・ナルはと言うと

あれからかなり逃げ回ってどこにいるのかも分からなくなってしまっていた。

その時、背後から何かが彼者かが体を触った。

『うわあああ!!!オレを食ってもおいしくないぞ!』

気が動転したのか叫ぶ彼を何者かが抑える。

『安心しろ、オレ達は人間だ。オレ達はここに出没するアンデッドを殲滅する為にスメリア国際特殊諜報機関V.S.S.E.から送られて来たアラン・ダナウェイだ。そして、後ろにいるヤツがジョルジョ・ブルーノだ。ところで、アンタは何者で何をしてんだ?モンスターの類じゃないみてぇだが』

アランと名乗った人物は手にしている拳銃に装備されているフラッシュライトをかざしてジョルジョを呼び寄せた。

『アランから紹介のあったジョルジョだ。以後よろしくな』

ニッと笑うとすぐ真剣な表情に戻った。

どうやら本当にアンデッド退治に来た様だ。それならルーナを助けてもらわなければ!

『オレはナルって言います。ブルグ村から、仲間のルーナってヤツと冒険に出たんだけど真っ暗な森を強行突破しようって言ったら、こんな事に・・・』

泣き出しそうな声をあげるナルをアランが、少し心配そうな顔で見つめていたが、すぐに助けてやるから心配すんなと言ってくれた。


『はあああっ!!』

ルーナとゾンビ達の死闘は続いていた。

最初はかなり優勢だったのだが、次第に数が増え出したからか今では劣勢になっていた。『ナル!早く帰ってきなさい!!』

そんな死闘を、演じている時に限って最悪の展開は廻ってくるのだろう。

照明魔法の効力が切れる予兆が現れた。

少しづつ薄暗くなって行くと光は消えてしまった。

こうなってくると完全に負け、しかもこの場合の負けは死、である。

もうダメか、と覚悟をきめた時。『大丈夫か!今助ける!なるべく伏せてろ!こっちは拳銃だ!当たると死ぬぞ!』

何者かがルーナに助言を加える。

『お〜い!ルーナァ!!助けに来たぞ!』

元気そうなナルの声が飛んできた。

どうやら助けを求めに行っていた様だ。

『ジョルジョ!背後を頼む!オレはルーナの安全を確保する』

声からは判別不能だが、年齢は20代前半と言ったところであろうか。

『ナル!その人たちは?!』

焦燥を抑えつつナルに尋ねる。

しかしゾンビに対する攻撃の手は休めない。

『今の人がスメリア国際特殊・・・なんとかって所からこの森に出現するアンデッド達を倒すために来たアラン・ダナウェイさんで、ジョルジョさんは今オレの後ろにいる!』

『オレがアランだ!アンタの事はナルから、全て聞かせてもらった!ブルグ村から冒険に出たそうじゃねぇか!面白そうだからオレとジョルジョも混ぜてくれ!』

そう良いながら胸ポケットにあるマガジンを取り出したのは良いが肝心の弾丸が入っていなかった。

ここに来るまでにかなりのゾンビを相手にしながらやって来たために弾が尽きているのに気付かなかった。


『チッ!ルーナ!方針変更だ!オレの誘導に従え!理由は何と無く分かるだろ?!』

アランはフラッシュライトをルーナが居るであろう場所に向けた。

するとルーナの青く長い髪が見えた。

『アラン!こっちも駄目だ!一度森から出て態勢を立て直す!』

ジョルジョが叫ぶ。


そして、アランを先頭にルーナ、ナル、ジョルジョの順に森の出口まで走った。


既に夜は明けておりうっすらと明るくなりだしていた。


そしてたどり着いた街で彼等は眠りに着いたのだった。


第二話・・・終了

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