プロローグ&第一話
皆さん、初めましてこんにちわ。
テイルズオブティラスイール原作者兼著者の俊介です。
さて、このテイルズ〜は本来はパソコンにて発表するつもりで執筆していた(初期原案はノートにまとめてありました)のですが発表直前でパソコンが故障し、一時は発表せずにお蔵入りするかと言う所まで追い込まれてたこの小説。
しかし、せっかくかなりの時間を使用して書いた長編小説なのに、日の目をみる事もなく廃案にする事は悔しいので前々から携帯にて登録していた『小説家になろう』さんを使い公開する事に踏みきりました。
まだまだ未熟者ですが、お付き合い頂ければと思います。
時は魔法暦199X年、スメリア国のはるか北に位置する農業の村、ブルグ村・・・
この村に住む魔導師の間に一人の娘がいる。名前はルーナ。
満月が綺麗な夜に産まれ、名前を決める時に神官が『月を司る神、ルナの名にあやかってルーナにしてはどうか』と言うので、名前がルーナになったのである。
そのルーナ、小さい時から『将来は冒険者になりたい』と言い張って親を困らせていたがこの物語が始まる3ヶ月前に名付け親である神官に『この世界が腐る前に、悪しき存在を全て滅ぼせ』と命令を受けた事により彼女の壮大な冒険譚は幕を開けるのであった。
そして物語は彼女が村を出る前の晩、自宅の自室で旅の用意をしている場面から始まる。
第一話
『遂にあたしも世界を自由に旅してまわれる冒険者の仲間入りかぁ。どんな事があたしを待ってるんだろう♪』
革のリュックに冒険に欠かせない物を詰めながらルーナは物思いに耽っていた。
と、その時である。
部屋の小窓を叩く音が聞こえる。
ふと窓に目をやると、仔猫くらいの大きさで背中には羽が生えている不思議な生物が足で窓を器用に叩いていた。
『あ、ナルだ♪あたしね、明日からこの村を出て世界を旅して回るんだぁ』
窓を開けると彼女は自慢気に話しかけた。
すると、驚いた事にナルは人語を喋りだした。
『本当に行くんだな。オレも行こうかな?』
そう言うと彼女が開けた窓から部屋に入り、ベッドに横たわった。
『・・・ウィックに叱られても知らないよ』
ウィックとはルーナの9歳年下の男の子で、伝説の魔剣士、ルシア・グラファイトの様な勇敢な剣士に憧れている子だ。
『良いんだ。今日もオレの晩飯を食べたから家出してきてやったんだ』
ベッドに横たわりながらふてくされた感じの語調で話す。
『ついて来るのは良いけど・・・、辛い旅になるかも知れないよ?
少し声を低くしたルーナが呟く。
『オレはルーナの顔が見れたらそれでいい』ナルが少し照れながら言った。
そして・・・旅立つ日の朝、村の集会所ではルーナの旅立ちを祝う儀式が執り行われた。
『え〜、本日はお日柄も良く旅立ちの日にはもってこいとなりました。これから、あたしルーナは世界を旅して回ります。今まで散々迷惑をおかけした村の皆さん、そして今まで何一つ不自由なく育ててくれた母や父には、感謝しています。道中、くじけそうになった時や辛いときは皆さんの顔を思い出します。皆さんも時々、あたしの顔を思い出して下さい。これにて挨拶及び旅立ちの儀式を終わります』
そう言うとルーナは集会所の壇上から降りて村の出口に向かって歩きだした。
もちろんナルも一緒だ。
『ルーナ、辛い旅だと思うけど諦めたりしちゃダメよ?』
ルーナの母、ローザが涙を浮かべながら話しかける。
『母さん・・・!!!』
何故だかは分からないが自然と自分の目にも涙が浮かび始めた。
そして母の胸に飛び込むと小さな子供の様に泣き始めた。
『ルーナ・・・、子供はいつか親から離れて行く物なの。あなたは、今その時を向かえたのよ。だから、泣いてないで行ってらっしゃいな、辛くなったらいつでも帰っておいで』そう言うとローザは涙を拭いながらルーナを優しく離した。
『それじゃ行ってきます!!!』
そう言うと村人の声援を背に颯爽と歩きだした。
もう寂しくなどない、今から一緒に旅に出る相棒、ナルがいるから・・・
第1話・・・終了