こんなはずじゃなかった。/2
今日は教師を殺すという算段だ。いつもなら人がいないところで殺すのだが、今回は教室にいるターゲットを殺すという変わった内容になった。そんな内容でも、俺にとっては朝飯前だ。教室に保護者を装って入り、ナイフを胸に一突きするだけだ。ターゲットのいる学校はレンガ造りで、外壁には全国大会優勝の横断幕が大きく飾られている。ひとまず、ターゲットのいる学校であると確認して、教室まで堂々と歩いてゆく。体がとても震えてきた。おそらく武者震いだろう。授業が開始された教室に躊躇わず入り、ターゲットや生徒が驚いている様子が目の前に広がる。既に生徒は逃げているが関係ない。ナイフを持った右手をターゲットの胸に向かって、一直線に進める。胸までみるみる近づけていく。あと30センチ、15センチ、5センチ、3、2、1。これであいつの敵をとってやることができる。あいつを捕まえたこのターゲットを絶対に許さない。
今日は生徒に勉強を教えるという仕事だ。いつもなら人を探すという仕事なのだが、最近は非常勤講師をするという変わった生活をしている。そんな仕事、僕にとって楽しすぎる。子供は様々なことを教えてくれるからとても好きだ。大人には持ってない視点や考えを大人の僕が吸収すれば、堅い世の中も少しは変わると思っている。授業が開始されたと同時に廊下から聞き覚えのない足音が聞こえた。全生徒、全職員の足音は把握済みだから、きっと緊急事態だな。生徒に逃げろと告げた。その十秒後刃物を持った男が現れた。男のズボンや袖あたりに猫の毛が付着しているのが見えて、少し驚いてしまった。男は生徒に構わずに僕の方にくる。まるで最初から僕を狙っているかのように。男はとても汗だくだ。コト、、、コトとこちらに近づいてくる足音を聞いて僕は抵抗しないでただ呆然と立つことを決めた。刃先がこちらの胸に向かってくる。赤い血が服に滲み、倒れた。
やっと敵を取ることができた。そう思っていた。だが、気づいたら俺は病院のベットの上にいた。チューブや器材がたくさん繋がれている。体がまだ自由に動かすことができない。扉が開いて足音がこっちに向かってくる。
「おはようございます。お目覚めですか。殺し屋さん。」目の前に立っていた男は俺のターゲットだった。
「どういうことだ。俺はお前を刺して殺したはずだ。」
「あなたは確かに僕を刺しました。しかし刺した瞬間あなたはアナフィラキシーショックを起こしたんですよ。」
「、、、」
「あなたは猫アレルギーだったんです。学校に入る前に猫に触れたでしょ。それが原因です。」
「、、、」
俺の弟子を刑務所に入れたこいつが、この探偵が憎くて仕方ない。殺してやる。殺してやる。たまたま近くにあった果物ナイフを思いっきり力を込めて目の前のターゲットに向かって投げた。両手はポケットの中で、リラックス状態。おまけに探偵は横を向いていて、こちらの攻撃に気づくのが遅れた。ざまぁ、みろ。殺し屋をからかうとこうなるんだよ。腹の底から笑い声が漏れた瞬間、落ち着いた様子で首を曲げて、回避した。、、、武者震いや大量の汗、歩き方。気づける場面はたくさんあったのに。
ああ、こんなはずじゃなかった。
ふぅ。本当に怖かったー。最後のナイフとかほんとギリギリ避けれたけど、当たったことを考えると背筋が凍る。うー寒。前回の殺し屋の関係者だったぽいな。一応殺し屋情報を把握しといてよかった。それにしてもまたうちの子は学校まで着いてきてたのか。でもそのおかげで助かったから今回も少し高めの餌でも買っていくとしよう。その前に外科で傷を診てもらうのが先か。痛!あのとき、避ければよかった。完全に油断した。




