第2話:日産のふらっと訪問 値札の無いジュークニスモがかっこいい
夜勤明けの昼、新元はふらっと日産ディーラーに立ち寄った。「カローラの査定でも…」と軽い気持ちだったが、ショールームのジュークニスモの赤いボディに目を奪われた。「おお、カッコいいな…」一瞬、心が揺れる。
営業の織春雨田猫子、20代後半のドジっ子が飛び出してきた。「いらっしゃいませー! 竹田さん! ジュークニスモ、いいですよね! えっと、試乗? 査定?」書類をバサッと落とし、「あっ、すみませんでしたー!」と慌てて拾う。新元は「コントかよ…」と心でツッコミつつ、「とりあえず査定」と答えた。
カローラの査定額は170万円。ローン残高180万円を考えると、買い替えには10万円の持ち出しが必要だ。猫子さんが提案してきた。「竹田さん! 雪国でもバッチリ4WDジュークニスモ! 燃費…えっと、15キロくらい?」と曖昧に笑う。新元は「いや、燃費はそれ無理っしょ、タイヤも大きくなるし維持費高いよなぁ、商談中だし」と首を振る。猫子さんが慌てて提案。「じゃ、じゃあコレはどうですか? ハスラー! ベージュのツートン、個性的で…」「ベージュってババシャツかよ! 却下!」新元が即ツッコミ。猫子さん、さらに「じゃ、ジムニー! マニュアルで…あ、2015年式か…」
「フィット良くないですか?」「ジムニーは古いかな!フィットはFFじゃないか!」新元が呆れ、猫子さんが「じゃ、デイズ! 軽で安い…え、走行10万キロ!?」
「お前、さっき言った条件ちゃんと確認しろよ!」
「お、お待たせしましたー!」と汗だくの猫子さんに、新元は苦笑い。「お前、コントかよ、なんか憎めねえ。」
ジュークニスモはカッコいいが、維持費はカローラ並み。節約志向の新元は冷静になり、「とりあえず考えさせてくれ」と店を後にした。