クオリティ オプ ライフ 生活の質をあげよう
竹田新元、55歳、会社員。雪国の郊外、築20年のアパートに独り住むバツイチの工場マンだ。朝の薄暗いリビングで、コーヒーの染みが刻まれたマグカップと、図書館の節約術本がテーブルに転がっている。三交代勤務のシフト手当で年収はそこそこだが、夜勤の疲れが抜けない。医者には「このままじゃ体が持たん」と警告された。
スマホで銀行口座をチェックすると、残高は心許ない。家賃、食費、車のローン、保険…。特に、年2回のボーナス払い20万円が重い。「なんとかしないと…」新元はつぶやく。ネットで話題の「ミニマリズム」に心を掴まれ、QOLを上げるには「余計なもの」を手放すことからだと決意。視線が駐車場のカローラツーリングW×B、4WDに落ちた。
3年半前、トヨタの営業マン・北条早雲に勧められて買った車だ。「竹田さん! 雪国の冬はこの4WDで楽勝ですよ!」と熱弁された黒のボディは確かにカッコいい。だが、雪で出勤困難な日は年に数回。毎月のローン2万円、ボーナス払い2回で20万円、自動車税3万5千円、スタッドレスタイヤ16万円の見積もりが家計を圧迫。「この車、めっちゃカッコいい気に入ってる、だがしかし、俺に必要か?」新元は自問した。