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④ドラゴン討伐の勇者になるはずだった日。

ドラゴンから世界を守る。

みんなが憧れる勇者になったら。

世界はどんなに変わって見えるのか?

頭上をドラゴンが飛んでいる。

旅をしてから数ヶ月が経って、やっとドラゴンの居座る山の上までやってきた。

剣を握りしめて

深く深呼吸する。

この瞬間にも飛びかかってきそうなドラゴンから目を離さず

飛ぶそぶりを見せた瞬間背後に回って

思いっきり剣を振り下ろす。

私は世界を救ったヒーローとなって

街の隅っこで密かに生活を始めた



って言うのが理想。

ドラゴン討伐の勇者にはみんながおすそ分けとかで食べ物や服をくれて

学校にも行かず

自由気ままに生活できるはず。

私の一昨日読んだ物語ではそうだった。

そうなればテストもなくなる。

もう期末テスト前の最後の土日に入ってしまった。

読んだ後からずっと勇者になってテストを受けなくてもよくなる世界を望んでいる。

ただ現実でドラゴンが現れたことはこれまでないし

実際に勇者として討伐に名乗りを上げることすらかなりの勇気が必要になる。

まぁ名乗りを上げる前はただの人で、名乗りを上げることから勇者としての活躍が始まるのだが。



5日後に迫った期末テストに怯えつつ、私は今日も蒼也と勉強会だ。

期末テストには夏休みの補習に参加しなければならないかどうかがかかっている。

夏休みに勉強しに学校に行くなんてありえないし、追試になると宿題も増やされる。

こんな大事なテストなのにも関わらず、私の頭の中はまっさらなノートが広がっている状況だ。

ということでこの土日は蒼也に先生をお願いした。

ため息をつきつつ毎回手伝ってくれる蒼也には感謝しかない。

優しさの塊だと感じる。

そんなことを考えながら勉強利用可能なカフェに到着すると、蒼也はすでに待ってくれていた。

今日はお昼から勉強の予定で、朝に別の用事があったから現地集合になった。

カフェに入ってさっそく教科書とノートを取り出す。

今日は英語と数学をやるつもりだ…

という予定はあるのになかなか勉強する気にならない。

勉強する前ってやる気と理想はとんでもなくあるし

なんなら勉強vlogとか見てモチベもとんでもないのになぜかそれを持ってる状態ってだけで満足してしまう。

頑張ってる自分を想像して勉強した気にもなる。

テストはやる気があれば満点にして欲しい…と呟くと、蒼也にじゃあみんな満点になっちゃうから勉強した人が報われないじゃんって返された。 

ど正論すぎる。

テスト受けようっていう気持ちはみんなあるもんなぁ。

受けなきゃ成績なくなっちゃうかもだし。

でも英語は過去形とか過去分詞とか後ろがto不定詞とか意外と覚えることがいっぱいで大変だし。

数学はなんでこの公式を使うと解けるのかとか、なんで解答は私がわからないところをわかるのが当然のところだとして式とか解説を飛ばしちゃうのかとか、不満がいっぱいでてきちゃう。


この日は蒼也先生のおかげで英語と数学のテスト範囲は一通り勉強できた。

蒼也にドラゴン討伐の話をすると、勉強はしたくないけど危険に立ち向かうのはいいんだ?と笑われた。

確かに危ないのもなぁとドラゴン討伐の世界を願うのは慎重になろうか悩んだ。


世界はまだいつも通りだ。


今日の日記。

ドラゴンがいないから勇者になる必要性が生まれなかった。

勇者になりたいと願うことは、なにか脅威が来ることを望むということなのかもしれない。

残念ながら、脅威を願っておいて私が世界を救えるかどうかはわからないけど。

世界に変化を与えるようななにかが起きることを願っても、テストが先にくるのはたぶん確実。

読んでくれた方ありがとうございます。

4話のうち3話は勉強関連の話題であることに気づいたので、違う話題も書いていきたいです。

次は夏休み編に入るかもです。

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